第13回 PCが遅いときの7つの処方箋“PCで仕事”を速くする

最近なんかPCが遅い──。そんな人に向けて、PCの不調の原因を突き止めて対処するための7つのチェックポイントをまとめてみた。

» 2007年09月19日 12時10分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 Windowsを使って仕事をしている人なら、最初はけっこう速かったPCが、使っているうちに遅くなる──という事態に頻繁に遭遇しているはず。それは、“今、この操作をしているとき”遅いということもあれば、“毎日、恒常的に遅い”こともあるだろう。

 皆さんと同じく、筆者のPCもだんだんだんだん遅くなり、また作業によっては極端に遅くなる。PCがウインドウの枠を描画しているのが見えたとしたら、それはあなたの視力が向上したわけではないのだ。では、どんな対処法があるのか。筆者が日常的に使っている方法を紹介しよう。

 まずは遅くなっている原因を見極める。メインで使うツールは「タスク マネージャ」だ。

チェックポイント1──HDDのアクセスランプは光っていないか?

 遅いと感じたときは、まずHDDのアクセスランプの状況を確かめよう。通常、何も操作していないときのWindowsなら、HDDのランプは数秒に1度、ピカッと光るだけのはず。特に何の作業をしているわけでもないのに、ここが激しく点滅していたり、光りっぱなしだったりしたら、問題がある。

 チェックポイント3と4に進み、対策を考えよう。

チェックポイント2──CPU負荷はどうか?

 動画のエンコードなどの重い作業でなくても、出来の悪いアプリケーションがCPUパワーを全開まで使い、手放さないということはよくある。こんな時、もちろんWindowsは遅くなる。

 タスクバーを右クリックして「タスク マネージャ」を選ぶか、[Ctrl]+[Alt]+[Del]を押して「タスクマネージャ」を起動しよう。CPU利用率がグラフで表示されるはずだ。

 CPU利用率が100%になりっぱなしだったら、きっとPCは反応が極めて遅くなっているはずだ。

チェックポイント3──タスクマネージャで犯人を捜せ

 HDDが動きっぱなしだったり、CPUが回りっぱなしだったりしたら、タスクマネージャでもう少し詳細をチェックする。「プロセス」タブを開いてみよう。

 ここで、「表示」−「列の選択」から「I/O読み取り」と「I/O書き込み」にチェックを追加しておく。すると、現在動いているプロセスごとの、CPU負荷、HDD読み書きの状態が分かるようになる。続いて「CPU」と書いてある列の先頭をクリックして、CPUを利用している順にプロセスを並び替えよう。

 もしここで、特に重い作業をやっているわけでもないのに、CPUを90%くらい使っているプロセスがあったら、これが容疑者だ。このプロセスのアプリケーションを終了すれば速く動くようになるかもしれない。場合によっては再起動しないとダメな場合もあるので、それも試してみよう。

 同様にHDDへの読み書き(I/O読み書き)もチェックして、何か特定のプロセスがPCの資源を使いまくっていないか確認しよう。

 こういった怪しい動きをするアプリケーション(プロセス)を見つけたら、今後チェックを続けよう。もし頻繁におかしい動きをするようなら、まずアンインストールして、再度インストール。それでもダメなようなら、違うアプリケーションに切り替えることも検討してみよう。

チェックポイント4──そもそもメモリは足りている?

 今度はタスクマネージャの「パフォーマンス」タブに戻る。左下の「コミットチャージ」の合計値を見てみよう。ここに出ている数字(だいたい400M〜1Gバイトくらいだろう)と、右中央の「物理メモリ」の数字を見比べてみる。

 この物理メモリとは、あなたのPCに入っているメモリの容量だ。コミットチャージのほうはWindows自体や、現在動作しているアプリケーションが使っているメモリの量だと思えばいい。

 もしこのコミットチャージが物理メモリ量を超えているようなら、あなたのPCはメモリ不足だ。するとどうなるか。

 そもそもコンピュータは、積んでいるメモリ容量以上のアプリケーションを動かすことはできなかった。しかしこれでは不便なので、メモリが足りなくなると、あまり使われていないメモリの中身をHDDに待避させ(スワップ)、メモリを空けることができるように進化してきた。HDDを仮想的にメモリとして使うようになったわけだ。この仕組みにより、メモリが少ないPCでもたくさんのアプリケーションを動作させることができる。しかしご存じのとおり、HDDはメモリより遅いので、スワップが発生すると全体的に動作が遅くなる。

 あなたのPCのHDDアクセスランプはしばしば点滅し、そのたびにPCの動作が遅くなっているはずだ。こうした状況が頻発するならメモリを増設することで、劇的にパフォーマンスが改善する。ちなみに、特にノートPCの場合は最大メモリ容量を確認すること。場合によってはメモリスロットが1つしかなくて、それが既に埋まっていることもあるので、買いに走る前に確認しよう。

 もしメモリの増設ができないなら、チェックポイント3に戻って、たくさんのメモリを使っているが必須ではないアプリケーションを起動させないようにしよう。無駄な常駐ソフトを止めて、自動起動させないようにするだけでも効果がある(8月29日の記事参照)

チェックポイント5──恒常的に遅くなったらデフラグを疑え

 特にアプリケーションを追加したわけでもないのに、最近動作が遅くなっている気がする──。そんなときには、HDDがフラグメンテーション(断片化)していないか確認しよう。

 「マイコンピュータ」を開き、HDDを右クリック。「プロパティ」から「ツール」タブを選び「最適化」を選択して確認する。ここで「分析」を行ってみて、赤い「断片化されたファイル」が多いようならビンゴ! 最適化(デフラグ)を行うことで、HDDのパフォーマンスが上がり、ひいては各アプリケーションやWindowsが高速に動作することにつながる。

 あるアプリケーションを開いたときに、以前よりもHDDのアクセスランプが長く点くようになったなぁと思ったら、それが合図。デフラグしてみるようにしよう。

チェックポイント6──HDDの空き容量は大丈夫?

 HDDをファイルの保存場所──とだけ思っていたらそれは違う。チェックポイント4でも書いたように、メモリの代わりにも使われるし、アプリケーションが数多くのファイルを読み込むのもHDDだ。

 HDDの空き容量が減ってくると、極端にPCのスピードが遅くなることがある。できれば30%程度の空き容量は確保したい。「HDDのダイエット法」を参考に、ファイルを減らし、容量を確保しよう。

チェックポイント7──最後の手段、再インストール

 これらの方法でもまだ遅い(購入当初に比べて)と思ったら、最後の手段はWindowsの再インストールだ。

 Windowsアプリケーションをインストールすると、その多くはレジストリに項目を書き込む。しかもアンインストールしても、元には戻らない場合が多い。Windowsフォルダの下にも、システムやアプリケーションが置いたさまざまなファイルが溜まっていく。だんだんと澱が溜まって動きが鈍くなっていくのだ。

 レジストリやシステムファイルのそれぞれを確認して、いらないものを削除していけば、元の軽快さを取り戻すことはできるだろう。しかしその難しさを考えると、潔くWindowsごと再インストールしてしまうほうが現実的だ。上書きインストールではなく、いったんHDDをフォーマットして、イチからWindowsをインストールする。自作のPCでもなければ、リカバリーCDなどが付属しているはずなので、それを使う。

 再インストール作業は面倒な作業だが、メリットもある。

 1つは、当然、事前にデータをバックアップしておいて、再インストール後に書き戻すことになる。つまり、重要なデータをバックアップするいい機会になる。

 2つ目は、問題の切り分けができること。再インストールを行って、購入直後と同じ状態に戻しても、不安定だったり、動作がおかしかったりすることがある。これは、Windowsではなくハードウェアの故障の可能性が高い。修理に出すか、新品にリプレイスするかといった行動に出られるわけだ。

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