植木職人さんが言っていたように、15分ほど歩けばヤギ小屋が見えてきた。1頭のヤギが見えたので、T嬢が「メエエエエ」と鳴き声をまねた。一瞬、ヤギがこちらを見たものの、すぐに目を落とし、草を食べ始めた。その後もT嬢は何度も「メエエエエ」と叫んでみるものの、二度と相手にされることはなかった。
しばらくすると、もう1頭のヤギが現れた。と思ったら、猛ダッシュで坂を下りていくではないか。足はもつれ気味で、最後は転がり落ちるようにして進んでいった。
一体、ヤギに何が起きたのだろうか。よく見ると、女性3人が立っていた。遠くからみても、(若い)女性だ。
――ハハ、ヤギも分かってるねえ。
「なに、それ。どういう意味?」
――あ、いや、その(焦)。
「さ、行きましょう。お腹が空いたわ」
――は、はい(汗)。
ヤギのスピードにも負けない勢いで、T嬢は坂を下りていったのだった。
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