お寺の本堂の前で、お線香の煙を自分の身体にかけている人がたくさんいた。子どもの頃に親から「賢くなりますように」と言われながら、頭に煙をかけられた経験がある人も多いだろう。そしてT嬢。両手でお線香の煙をすくい、自分の顔にかけ始めた。何度も何度もかけながら、なにかをつぶやいている。よく聞いてみると「美人になりますように!」「美人になりますように!」と言っていたのだ。
本堂での参拝をすませると、近くに「恋みくじ」と書かれた箱を発見した。独身のT嬢は、彼氏いない暦○年。「お腹すいた〜」と「どこかにいいオトコいないの〜?」が口癖なのだ。
で、この流れでおみくじを引かないわけにはいかない。T嬢に勧めてみたところ、関西弁で「イケズやなあ」「イケズやなあ」を連発。イケズとは「いじわる」の意味である。とはいいつつも、いざおみくじを引くときのT嬢は真剣な面持ちだった。
恋みくじの結果は……「中吉」。大吉でもなく凶でもない、どっちつかずの結果に、彼女はちょっと複雑な表情を浮かべた。そして書かれている内容を読み始める。
「聞いて、聞いて。『希望に満ちた恋がかなう』って書いてあるっ!」
――ほかに、何が書いてあるの?
「……。『結婚は3年待て』って。待てるかいなっ! 3年も待ってたら、ワタシは3○歳やで、ほんまに!」
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