インタビュー
» 2009年06月19日 08時00分 UPDATE

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」:君はベルクに行ったことがあるか? 新宿駅にある小さな喫茶物語(前編) (1/7)

新宿駅から徒歩1分とかからない場所に、「ベルク」という小さな喫茶店がある。カフェチェーンが全盛を極める中、個人店のベルクはどのような経営をしているのだろうか? 店長の“井野氏しかできない”経営術を聞いた。

[嶋田淑之,Business Media 誠]

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」とは?:

 「こんなことをやりたい!」――夢を実現するために、会社という組織の中で目標に向かって邁進する人がいる。会社の中にいるから、1人ではできないことが可能になることもあるが、しかし組織の中だからこそ難しい面もある。

 本連載では、戦略経営に詳しい嶋田淑之氏が、仕事を通して夢を実現するビジネスパーソンをインタビュー。どのようなコンセプトで、どうやって夢を形にしたのか。また個人の働きが、組織のなかでどう生かされたのかについて、徹底的なインタビューを通して浮き彫りにしていく。


 人間には毎日、少なくとも4時間程度は、何もしないでボーッとする時間が必要だという説がある。しかし現代の都市生活者は深刻化する不況下、日々、仕事に忙殺されがちであり、そうした時間や場所を確保するのはなかなか難しい。

 そんな生活の中で、もし心の寄る辺になるような一軒のカフェと出会えたならば、そのお店はきっと自分だけのかけがえのない存在になるに違いない。

 1日平均乗降客数は346万人。その数は、ギネス世界記録として認定され、地下道で連結する西武新宿駅まで含めれば364万人に上ると言われる世界最大規模のターミナル駅・新宿。連日連夜、いったいどこから湧いてきたのかと思うほどの人また人の渦。

 その新宿駅の東口「ルミネエスト」地下1階に店を構える「ベルク」は、そうした喧騒(けんそう)をよそに、まさに自分だけの時空間を提供してくれる一軒だ。

 スターバックスやタリーズなど、外資のチェーン系コーヒーショップが全盛を極める現代日本。そんな中にあって、このベルクは外見的に際立った特徴がなく、カフェのようで、カフェでない。とらえ所のない飲食店だが、顧客からは絶対的な支持を得ている。

 朝夕のラッシュ時にビジネスパーソンが主要客になるのは当然としても、1日を通して見れば、ブティック店員風の若い女性もいれば、自営業風の年配の男性もいる。セレブ風のゴージャスマダムもいれば、時としてホームレス風の人もいたりする。まさに、さまざまな社会的立場の人々が交錯する街・新宿の縮図のような場。彼らは、自分なりに思い思いの時間を過ごしている。

 低価格・高回転の店であるから、長時間滞在する人はほとんどいない。しかしそこでの時間は、限りなく心安らぎ、貴重なものなのだろう。

yd_beruku5.jpg ベルクの店内。お客の列が途切れることは少ない

 お店に訪れる客同士は、何らつながりもなく、会話もない。しかしベルクがビルオーナーのルミネから立ち退きを強制されたとなれば、お店を守ろうと、強い団結力を示すのも大きな特徴である。

 一体、ベルクとはどんなお店なのだろうか? 現代日本において、他に類例を見ないその魅力を探るために、今回、経営者(店長)の井野朋也さん(48歳)と、仕事&人生のパートナー(副店長)の迫川尚子さんにお話をうかがった。迫川さんは今話題の写真家であるとともに、利き酒師、調理師、アートナビゲーターの資格を有している。

 前編ではお店の概要を紹介し、後編で井野さん、迫川さんの人生行路。このほかベルクの歴史や今後の展望を明らかにしたい。

 →なぜベルクには人が集まるのだろうか? 新宿駅にある小さな喫茶物語(後編)

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