インタビュー
» 2009年01月18日 00時25分 UPDATE

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」:南極越冬隊は何を食べているのか――南極越冬隊調理担当・篠原洋一さん(前編) (4/5)

[嶋田淑之,Business Media 誠]

「ペンギンは食べませんよ!」(笑)

 「もしかして、ペンギンを食べたりするのですか?」と聞いたところ、「それ、いろんな取材で必ず聞かれるんですよね」と笑われてしまった。「ペンギンはもちろん、現地の動植物には、決して手をつけません。食材は基本的に、東京・築地など日本で大方を仕入れ、船積みし、途中寄港するオーストラリアのフリーマントルで積み足して南極に向かいます」

 持ってゆく量は、やはり滞在期間の1年3か月分?「いえいえ……滞在期間分に加えて、予備食を300日分、持ってゆきます。なぜなら、自然条件の過酷な南極ですから、南極観測船の『しらせ』が翌年来られないという万一の場合も想定しないといけませんし、基地施設の火事などの不測の事態にも備えておく必要がありますから」

 では、事前にメニュー表を作った上で、食材を積むのだろうか?「積み込みの時点では詳しいメニューは考えていません。メインディッシュに関しては、週に牛1回、魚1回、豚1回という決め方はしていますが、それ以外はアバウトです。現地での状況を見ながら、臨機応変に対応していきます」

 食材を現地で保管するには、苦労が多いのでは? 野菜不足でかっけになったり、ということはないのだろうか。「そうですね。例えばキャベツなどは、切り口に石灰を塗って新聞紙に包むことで長持ちします。涼しい風通しの良いところに置けば3〜4カ月は持ちますよ。実は、基地内で各種野菜を水耕栽培していまして、それを食べるようにしています。ルッコラ、サラダ菜、貝割れ、ラディッシュ、プチトマト、キウリ、ナスなど……いろんなものを作ります。ただし、白菜とキャベツは水耕栽培できないんです」

ay_snhr04.jpgay_snhr05.jpg ペンギンに近づくことはしても、もちろん捕まえたりはしない(左)。基地では水耕栽培をしており、新鮮な野菜を食べられる(右)

南極の人気メニュー?「ハルマゲ丼」

 具体的に、篠原さんはどんなメニューの食事を作り、どんなものが人気を集めるのだろうか?

 「朝食は和洋両方です。和食であれば、ご飯、味噌汁、小鉢、焼き魚(西京漬や干物)、納豆。洋食だと、パン、コーヒー、ジュース、ミルク、卵料理ですね。

 昼食は、カレーライス、丼物(親子丼、カツ丼、牛丼、鉄火丼、海鮮チラシ丼 他)、ラーメン、うどん、そば、沖縄そば、チャンポンなどです。ボリュームがある丼物は人気がありますよ。よく覚えているのは「ハルマゲ丼」といいまして(笑)、卵でとじた春巻をご飯にのせた丼物です。ボリュームがあって美味しいと喜ばれました。他に、カツ丼などもとても人気があります。

 夕食は、メインディッシュ、副食2品、ご飯、味噌汁というのが基本構成です。メインディッシュは、牛だとTボーンステーキ、羊はラムのグリル、豚は、豚カツ・串カツ・ポークチョップ。ロブスターだと、エビフライやチリソースなどが、人気メニューですね。週末は鍋料理を出します。

 あと特筆すべきこととしては、隊員たちの様々なニーズに対応しつつ、食べるよろこびをできるだけ大きくするためにテーマメニュー制を導入していました。『イタリアン・ナイト』『アラビアン・ナイト』『スパニッシュ・ナイト』『北海道ナイト』『沖縄ナイト』『伊達政宗ナイト』といったように、各国料理あるいは、各郷土料理を出すようにしているんです。さらに、そうした料理の数々に関して、ちょっとしたウンチクを加えながら出してあげると、とても喜んでもらえるんですよ。きっと、こちらの熱意や創意工夫が伝わるのでしょうね。でも、あくまでも予算の範囲内ですることですから、豪華な食材を使った翌日は『お茶漬けビュッフェ』にするなどして、バランスを取ってゆくことが大切なんです」

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