インタビュー
» 2009年01月18日 00時25分 UPDATE

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」:南極越冬隊は何を食べているのか――南極越冬隊調理担当・篠原洋一さん(前編) (3/5)

[嶋田淑之,Business Media 誠]

 そうしたロマンが一方にあるとしたら、他方では、過酷な自然環境もまた南極生活の現実だ。「何より怖いのは、冬のホワイトアウトです。視界全体が真っ白になって、平衡感覚がまったくなくなるんですよ。自分が一体、どういう角度で地面に立っているのか分からないんです。こめかみが痛くなって、立っていることもできなくなります」

 寒さはどうだろう? 南極の寒さといわれてもまったく想像がつかないが……。「外気温は、マイナス25〜30度でも、風がなければ大したことはないんです。もちろん、鼻水を垂らせばツララになりますし(笑)、口を開ければ口内は氷結しますが。しかし、いったん(吹雪が)吹き始めたらそんなもんじゃない……それこそ命に関わります」

南極越冬隊の一年

 そんな南極での日々を、国立極地研究所の資料をベースに、季節ごとにたどってみよう。

12月中旬〜2月中旬:南極は夏。太陽が沈まない白夜の日々が続く。その後は天候が悪化するので、基地での設営作業は実質的にこの時期しかできない。越冬隊はこの期間に昭和基地入りし、越冬交代式を行う。建築や機械の整備をはじめ、あらゆる作業を集中的に行うため、隊員は超繁忙の日々を過ごす。

4〜5月:風が強くなり、夜も長くなってゆく。野外作業は次第に困難になるが、基地での観測は継続する。

6月1日〜:昭和基地では1カ月半、ドームふじ基地では4カ月くらい太陽の出ない「極夜」の時期に突入。この時期、野外活動はほぼできない。

6月21日ごろ:冬至の祭り「ミッドウィンター」を開催。冬至は、越冬生活の折り返し地点であり、3日間にわたって祭りを実施する。かまくらの中で屋台を開いたり、マイナス30度の屋外で露天風呂をしたり、居住棟対抗の演劇やゲームを行ったりと、隊員たちの創意工夫により、多彩な催しとなる。篠原さんも、腕によりをかけた豪華な料理を出す。

8〜9月:南極で最も寒い冬の到来。基地では、内陸旅行など野外調査の準備を開始する。

10月中旬〜:気温も上がり、地吹雪も収まって、野外活動が可能になる。ドームふじ基地など内陸に出かける調査旅行隊は、この頃、昭和基地を出発。アザラシやペンギンの姿も海氷のあちこちで見られるようになる。

11〜12月:新しい越冬隊が日本を出発。

2月下旬:前年の観測隊は、南極観測船「しらせ」で基地を出発。オーストラリアからは空路で、3月下旬に帰国する。

ay_snhr06.gif 越冬中の気温

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