第13回 ルールに従っていれば、不安は解消されますか?実践! 専門知識を教えてみよう(3/5 ページ)

» 2008年06月26日 11時46分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]

「指示」がないと不安を感じますか?

 日本人には「他人にルールを与えられることに慣れてしまった人が多い」という点について、興味深い証言を1つ紹介しましょう。高名な心理学者で元文化庁長官の河合隼雄さんが元ラグビー日本代表選手の平尾誠二さんとの対談で語ったことです。

平尾 (不確実な状況に対応できる人間を育てるには)幼児教育からやらないとダメでしょうね。画一的な規格品のような人間が多いから、いきなり好きにやれといわれてもできない

河合 確かにそうですね。日本人は、「好きにやれ」と言われると、「好きというのはどういうことですか」と言う(笑)。これは冗談ではなくて、学校の先生方でさえそうなんです。たとえば、ある時幼児教育について、「縄跳びでもなんでも自由にやらせたらいい」なんて言ったが最後、一例を挙げただけの縄跳びを日本中の幼稚園で始めてしまう。それぐらい、みんな自由にやるのが不安な人達が揃ってるんですね

(出典:「日本型思考法ではもう勝てない」平尾誠二著、ダイヤモンド社刊)

 「『好きにやれ』と言われると、『好きというのはどういうことですか』と言う」……そう、まさしくその現実を私も実感しています。それがつまり、

  • 「正しいかどうかを判断する基準を教えてください」

 という質問の背後に潜む本質的な問題なのです。私自身は「好きにやれと言われなくても好きなことしかやらない」性格なので、この河合隼雄氏の発言を読んだ時はあぜんとし、そして、生まれてこの方30年ぐらいの間、どうして「学校」にも「会社」にもなじめずに居心地が悪い思いをしてきたのか、その理由が分かった気がしたものです(ちなみに現在は独立して好きなことだけやっています)。

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