前述のように「正しいかどうかを判断する基準を教えてほしい」という質問は、私の講座では昔からよく出てくるものなのですが、実は私は長いこと、どうしてこの質問がこんなにも多いのかが分かりませんでした。それが最近あることに思い当たって、謎が解けたような気がしています。それは、
ということです。内閣府が2007年に公表した報告書「国民生活に関する世論調査」によると、「日常生活で悩みや不安を感じている」とする人の割合は1991年からほぼ一貫して上昇し続け、2007年には過去最高の69.5%に達しています。
実際、この期間に「不安材料」はいろいろと増えました。バブル崩壊後の「失われた10年」があり、給料は上がらず、リストラが珍しくもなくなり、非正規雇用労働者比率は増え続け――といった要素がその代表的なものでしょう。だから不安感が増大したと考えれば納得はいきます。
しかし本稿ではこの「不安感の増大」現象を別な面からとらえてみましょう。それは、
という点です。例えば「世界標準」という名の下に外部からルールを与えられて、「こうしろ」と強いられるというようなケースが大変多くなりました。ことは「世界標準」に限らず、法律が変わったからとか、会社が買収されて経営者が変わったからとか、世間の空気が変わったから、などさまざまな理由で「ルール」は変わるものです。ところがその「ルール」というものは、変更してすぐに定着することはありません。ルールを一度変えるとそれが安定的に運用されるようになるにはかなり時間がかかるもので、その間は「これでいいのかな? いいのかな?」と手探りの運用を強いられるものです。
ここでもしも、
という状態が続くと、どうなるでしょうか? 容易に想像がつくと思いますが、非常にストレスがたまってしまいます。そして実はこのストレスに最も弱いのが、
であり、恐らく日本人にはこのタイプが多いのです。
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