試しに、「イメージを持って練習する」というフレーズでGoogleで検索してみると、あるわあるわ、スポーツや楽器などの「身体を使う」タイプの活動の練習に対するページが山ほどヒットします。
しかしこれは身体を使うものに限らず、理屈をこねる活動についても同じなんです。図3に、よく「関数」の説明をするときに使われる図を載せました。入力に対して決まった処理を行い、出力をする働きを抽象的に表現したのが関数「f」です。fは2次関数でも3次関数でも三角関数でも、あるいは運動方程式でも何でも構いません。この時、「f」のしくみが論理的に理解できただけではだめです。それでは実用的には使えません。
理解を身体感覚にまで昇華させるためには、「入力→出力」のイメージを持った上で、さまざまなパターンでそれを検証してみる、という試行の繰り返しが必要です。「イメージを持つ」というのは、fがどのように動くのかを事前に頭の中でシミュレーションしておくということです。その上で実際に何度も何度も試していると、関数fの動きの特徴が手に取るように分かってきます。これが論理の身体感覚です。
ところが、勉強をしている時にこの「イメージ」を持たないままで繰り返し練習をしているケースが結構多いようです。それでは何度やっても身体感覚にはなりませんので、練習をしたつもりにはなってもなかなか身につかないのです。
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