マツダ、3代目「アテンザ」発表――新しいマツダの象徴に(3/4 ページ)

» 2012年11月20日 17時43分 公開
[岡田大助,Business Media 誠]

燃費を10%改善する減速エネルギー回生「i-ELOOP」

 新型アテンザでは、蓄電器にキャパシタを用いるマツダ独自の減速エネルギー回生システム「i-ELOOP(アイ・イーループ)」を初めて採用した。約7〜10秒でフル充電可能で、電装品を60〜80秒程度稼働できる。通常、電力はエンジンを使ってオルタネーター(発電機)を回して得ているが、これはガソリンの10分の1を発電で消費していることに等しいという。電装品の電力を減速エネルギー回生でまかなうことで、燃費は約10%向上するという。

マツダ i-ELOOP(出典:マツダ、クリックで拡大)

9つの先進安全技術「i-ACTIVSENSE」

 ミリ波レーダーや赤外線、カメラを使うi-ACTIVSENSEは、3種類の衝突回避支援・衝突軽減技術、5種類の認知支援技術、1種類の運転支援技術の総称だ。

 スマート・ブレーキ・サポート(SBS)は、時速15キロ〜115キロで走行中に、ミリ波レーダーによって前方の障害物を検知するもの。衝突の可能性がある場合は、警告音でドライバーに認知を促し、自動的に減速する。

 また、スマート・シティ・ブレーキサポートはフロントガラス上部に搭載した赤外線レーザーによって近距離の障害物を探知するもの。時速4キロ〜30キロでの低速走行中に先行車両や障害物を検知し、衝突事故を回避する。

 さらに、停止状態からの発進時において、前方に障害物を検知した状態ではアクセルを踏み込んでもエンジン出力を抑え、急発進を抑制する「AT誤発進抑制制御」も行う。

 このほかにもAピラーの付け根を先代モデルから100ミリ後ろに下げてコーナーや交差点での視界を確保した。ドアミラーとAピラーの間にも隙間を設け、近接視界も向上している。アテンザの開発担当主査を務めた梶山浩さんは「Aピラーの付け根を後方に下げるのは、自動車のデザインのトレンドからは逆行する。しかし、アテンザではデザインと安全性の両立こそが重要だ判断した」とコメントする。

マツダマツダマツダ ドライバー視点。Aピラーとドアミラーの間が広く見通しはよい。ルームミラー裏にi-ACTIVSENSEで使うカメラと赤外線レーザーユニットがある
i-ACTIVSENSE
技術 名称 詳細
運転支援技術 マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC) 先行車との速度差や車間距離を認識し、設定した車速内で車間距離を自動で調整・維持することで、高速道路などでドライバーの負担を軽減する
認知支援技術 前方衝突警報システム(FOW) 先行車を検知し、ドライバーに衝突の危険性を知らせ、衝突回避をサポート
車線逸脱警報システム(LDWS) 道路上の白線を検知し、車両が意図せず車線を逸脱することを予測してドライバーに警告
リア・ビークル・モニタリングシステム(RVM) 左右のレーンや後方からの接近車両を検知し、ドライバーに車線変更時の危険を知らせる
ハイビーム・コントロール・システム(HBC) 先行車や対向車を検知し、ヘッドランプのハイビーム/ロービームを自動的に切り替える
アダプティブ・フロントライティング・システム(AFS) ステアリングの角度と車速に応じて、ヘッドランプの向きを自動的にコントロールし、カーブや交差点などで進行方向を早めに照射する
衝突回避支援・被害軽減技術 スマート・ブレーキ・サポート(SBS) 時速15キロ以上の速度域での走行中に、先行車と衝突の危険性がある場合、自動ブレーキにより減速を行い、衝突回避または被害軽減を図る
スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBC) 時速4キロ〜30キロの速度域での走行中に、先行車と衝突の危険性がある場合、自動ブレーキにより減速・停止し、衝突回避または被害軽減を図る
AT誤発進抑制制御 前方に障害物が検知された状態で、必要以上にアクセルを踏み込んだ場合、警告音とメーター表示でドライバーに注意を促すとともに、エンジン出力を抑え急発進を抑制する

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