第58鉄 竹取伝説と富士山とつけナポリタン――岳南鉄道杉山淳一の +R Style(3/5 ページ)

» 2012年06月08日 11時18分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

宿場町 吉原を歩く

 お腹いっぱいの帰り道。メインストリートから路地に入り、桜が咲く小さな公園や金魚屋さんを覗いて戻ると「ゴンチャロフキャンディー」と看板に書かれた和菓子屋さん「中山甘納豆」を発見。「ゴンチャロフってなんですか」と訊ねたら、神戸の洋菓子の老舗とのこと。でも今はここでは扱っていないとか。陳列台には煎餅、豆菓子、ショーケースには自家製甘納豆が並ぶ。

自家製和菓子の「中山甘納豆」

 玉子煎餅と甘納豆を求めて、包装を待つ間にご主人とカメラ談義。私と同じ高倍率ズームコンデジのファンだとか。私は旅で持ち歩きやすいから。ご主人は野鳥が専門だそうで、なるほど、お店にも飾っていた。

 駅に戻る前に甘いものをもう1つ。知人のブログで紹介されていた「ようかんパン」を購入(参照リンク)。行きの道では入荷していなかったのだが、帰りに寄ったらあった。よかった。私が初めて見たようかんパンは、函館本線の森駅そばのコンビニだった。ようかんパンって北海道の食べ物だと思っていた。でも富士山名物で、もう80年も作っているのだそうだ(参照リンク)

宴のあとの比奈駅から、竹取伝説散歩

 吉原本町駅の柱の一部には古いレールが使われているんだな……と思いつつ、電車に乗って3つ目の比奈駅へ。旅客設備は島式ホーム1つだけだが、線路はたくさん。ここと、次の岳南富士岡駅が貨物輸送の拠点だったという。比奈駅は「機関車・電車まつり」のメイン会場で、同社の電気機関車が勢ぞろいしていた。駅前もグッズ販売や飲食の屋台で賑わっていた……。でも、今日はひっそりとしている。貨物輸送が終わったため、この駅は無人駅になってしまった。

比奈駅にさしかかる景色。いまは使われていない貨物荷扱い設備
工場萌えと電車萌えの両方を満たす路線だ
比奈駅の留置線。イベントではここに機関車が並び、ファンが集まった

 構内も、製紙工場へ続く線路も、車両は1台もなし。機関車はどこに……? 宴のあとの寂寥感が漂っている。でも、ホームに作られた花壇には春の花が咲いている。芝生の養生もされているようだ。鉄道の職員さんか、町の人々か。誰かが気をかけてくれているこの駅は、無人駅の中では幸せな境遇かもしれない。

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