苅田: 次に2008年のビジネス書年間ベストセラーを見ていただけますか。
土肥: 全体的に勉強法や仕事術に関する本が上位に並んでいますね。
苅田: 「脳トレ」ブームの影響もあって、茂木健一郎さんの著書『脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」』(PHP研究所)、『脳を活かす仕事術「わかる」を「できる」に変える』(PHP研究所)がそれぞれ1位と3位にランクインしています。このほか、2位に奥野宣之さんの『情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、4位に勝間和代さんの『効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法』(ダイヤモンド社)が続きました。
この結果からどういったことが読みとれるのか。2008年の株価をみると、1月4日は1万4691円でしたが、12月30日には8859円まで下落しています。この間何が起きたのかというと、ご存じのとおり「リーマンショック」。ただリーマンショックが起きる前から「株なんてあまり信用できない」という雰囲気がありました。なぜそんな雰囲気が漂っていたかというと、2006年1月の「ライブドアショック」が強く影響していたからでしょう。
こうした時代背景があったので「不安定な世の中を生き残っていくためには、自分のチカラを磨きあげなければいけない」と思った人が多かったのでしょう。人生の主眼は「仕事」。自分の仕事力を高めるためにはどうすればいいのか、という雰囲気がまん延していた中で、いわゆるカツマー本が売れました。
同時に勉強本も売れました。このころから、会社が社員の面倒をあまりみなくなったのでその影響が出たのではないでしょうか。
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