大手コンビニでスーパーバイザーをしている山根聡(仮名・40歳)さんは、10年ほど前から株式投資をしている。2008年のリーマンショック後は株価が低迷していたので、いわゆる“塩漬け”状態が続いていた。しかしアベノミクスの影響を受け、株価は上昇。4月22日には、実に「15年ぶり」に日経平均株価が2万円を超えたこともあって、株式市場とともに彼もまた“沸いて”いるのだ。
しかし、気になることがある。株価が上昇すれば、投資関連の本が売れていたのに、最近はかなり様子が違うのだ。例えば、2006年に起きた「ライブドア・ショック」前には株価が上昇。長引く不況から脱出するのではないか。日本経済が復活するのでないか。といった期待から株式市場には個人投資家が“殺到”し、書店には「お宝銘柄はこれだ!」といった鼻息の荒い本が目立っていた。
2004年のビジネス書人気ランキング(トーハン調べ)をみると、マネー関連の本が上位にズラリ。株にまつわる本が3冊、お金にまつわる本が5冊……合計8冊がランクインしていた。しかし、2014年のランキングをみると、『お金が貯まるのは、どっち!?』(菅井敏之、アスコム)のみである。しかもこの本は銀行や保険の活用などを紹介していて、いわゆる投資本ではない。
昔と違って、いまはネットを使って投資関連の情報を手にしている人が多いのかもしれないが、それにしてもなぜこうした現象が起きているのか。自宅の本棚には、投資に関係する本、仕事術に関係する本が並んでいる人も多いかもしれないが、知らず知らずのうちに時代の影響を受け、そうした本を選んでいたのかもしれない。
そんな疑問がわいてきたので、本の要約サイト「flier(フライヤー)」を運営している苅田明史さん(取締役CFO/COO)に話を聞いた。10年間を振り返って、ビジネス書の売れ筋をみると、意外な事実が浮き彫りに……!? 聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
本連載「水曜インタビュー劇場」の前身「仕事をしたら○○が見えてきた」が、『ササる戦略』(三才ブックス)というタイトルで書籍化されました。
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