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» 2014年12月19日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の時事日想:なぜ人が集まる? 2014年に人気上昇した都道府県を鉄道目線で斬る (1/5)

なぜ今年は四国が盛り上がらなかったんだ……。皆は四国へ行かずドコへ行ったのか? その手掛かりを見つけた。2014年に楽天トラベルで最も予約実績を伸ばした都道府県ランキングが発表されたのだ。さて、1位はドコだ?

[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 2014年12月16日、楽天トラベルは「2014年国内旅行 都道府県別伸び率ランキング」を発表した。宿泊、旅行予約サイト大手の楽天トラベルが、国内宿泊予約、航空券と宿泊予約を組み合わせた「ANA楽パック」「JAL楽パック」について、2014年の1月1日から12月31日までの予約実績を集計したという。私が予約した三陸や四国の宿泊予約も集計に入っている。こういう集計がポンと出ちゃうところがIT系サービスの良いところ。ビッグデータの有効活用だ。

 ランキングではTOP10入りした都道府県を紹介している。詳細はサイトを見ていただくとして、一覧表は右図を参照してもらいたい。

年間注目エリアランキング 数字はパーセント 年間注目エリアランキング 数字はパーセント

 このランキングは、実際の予約総数ではなく対前年比だ。楽天トラベルは観光専門ではなく、出張の予約も含むだろうから、予約実数では東京、大阪、名古屋の3大都市圏がトップの定石になるに決まっている。ビジネス需要は企業数や人口に左右されるから、数値としては安定しており、それほど変動しないはず。ということは、この変動率ランキングは旅行先の人気の推移を表していると言えそうだ。

 前回も触れたように、四国は鉄道旅行の人気が出る要素があったにもかかわらず盛り上がらなかった。その印象はこのランキングで裏付けられた。四国4県がトップ10に入っていない。しつこいけれど、私は「2014年はゼッタイに四国が盛り上がる!」という予想が外れて、悔しくて仕方がない。では、旅人たちはどこへ行ったのか。楽天トラベルの解説と合わせて見ていこう。

1位:佐賀県

 何と1位は佐賀県。芸人のはなわさんが自虐的に歌った佐賀。楽天トラベルによると「武雄温泉や嬉野温泉など有名温泉地が人気」とのこと。2013年に新装オープンした武雄市図書館や呼子の朝市も注目だ。武雄市図書館は公共施設の民間委託で大改革。併設された「スターバックス」と「蔦屋書店」も話題だった。民間委託については賛否両論あったというけれど、リニューアル前と比べて年間来館者数は3.6倍の92万人に増えた。確かに行ってみたい。

 佐賀への観光は、隣の福岡県からの動員が大きいという。佐賀を訪れる旅行者の5人に1人は福岡県民らしい。佐賀空港は2014年から全日空(ANA)の羽田便が5往復となったし、LCC(格安航空会社)の春秋航空が成田便を就航させた。そこで2014年9月から2015年3月まで、羽田便増便・成田便就航記念としてレンタカーが48時間1000円になるキャンペーンを実施中。この施策も効果があったかもしれない。

 鉄道ネタにこじつけると、福岡から佐賀へは特急「ハウステンボス」で約1時間10分。九州新幹線の新鳥栖駅で在来線特急「みどり」に乗り換えると約50分。人口150万人の福岡市からは手軽な温泉観光地だ。武雄温泉と言えば、九州新幹線(西九州ルート)の停車駅でもある。このルートはフリーゲージトレイン(軌間可変電車)を採用し、2022年に開業予定だ(関連記事)

 新幹線はまだ先の話。しかしJR九州は、2015年夏から大村線に新しい観光列車を導入予定である。大村線は全区間が長崎県内だけど佐賀県寄りを走る。武雄温泉や嬉野温泉、ハウステンボス、新しい観光列車の相乗効果で、佐賀と長崎の人気は続きそうだ。

JR九州の新しい観光列車 来年は長崎県に注目か?(出典:JR九州プレスリリース) JR九州の新しい観光列車 来年は長崎県に注目か?(出典:JR九州プレスリリース)
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