なぜ人が集まる? 2014年に人気上昇した都道府県を鉄道目線で斬る杉山淳一の時事日想(4/5 ページ)

» 2014年12月19日 08時00分 公開
[杉山淳一Business Media 誠]

6位:滋賀県

 琵琶湖観光の拠点の滋賀県。2014年は琵琶湖畔の約200キロメートルを一周する観光「ビワイチ」がジワジワと人気上昇中。元々は自転車による琵琶湖一周を指した言葉で、上級者は1日で回る。一般には途中で宿泊して2日〜3日かけるそうだ。滋賀県はビワイチ向けのサイクリングマップも発行している。現在は徒歩、オートバイによる「ビワイチ」も行われていて、関連イベントも開催しているようだ。

 自転車のビワイチの背景は、「ツールド・フランス」のようなロードバイクレースや、ポタリングという自転車散歩旅の人気があるらしい。そういえば、東京の街中でもロードバイクで通勤する人や、何台も並んで走る人たちの姿を見掛ける。マンガ「弱虫ペダル」のアニメ化の影響もあるかもしれない。

 鉄道と自転車と言えば、地方鉄道で自転車の同乗を認める事例が増えている。乗客が少なく車内空間にゆとりがあることや、通学や買い物の乗客を鉄道に取り込むための施策だ。JRグループでは1999年から、解体して輪行袋に入れた自転車の持ち込みが無料になっている。駅前の観光案内所にレンタサイクルも多いし、鉄道と自転車を組み合わせた旅はもっと流行っても良さそうだ。

 滋賀県と言えば、以前連載でも紹介したように、11月に復帰した信楽高原鐵道に注目(関連記事)。2015年の躍進に期待したい。

7位:群馬県

 世界遺産の「富岡製糸場と絹産業遺産群」で観光客が急増している群馬県。著名な温泉地も多く、藤岡・妙義・安中・磯部温泉エリアは前年比約20%の予約増となったという。もっと上位にランキングされても良さそうだけど、首都圏からのアクセスが良すぎて、新幹線を使えば日帰り圏内。宿泊数を基にしたランキングには反映されにくいか。

 鉄道にこじつけると、群馬県は関東のSLスポット。高崎から水上へ、横川へと毎週末にSL列車が運行している。富岡製糸場へは上信電鉄が便利(関連記事)。最新情報として、上信電鉄は12月22日に新駅「佐野のわたし」を開業する。南高崎駅と根小屋駅の間だ。地元の要望による請願駅として、主に通勤通学用に作られたわけだが、付近には高崎駅の駅弁業者「たかべん」の本社がある。11月1日に本社前に「たかべん食堂」がオープン。高崎駅で朝だけ限定販売される「上州の朝がゆ駅弁」をバイキングで楽しめるそうだ。

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