販促の王道、ダイレクトメールの第一歩に「年賀DM」のススメチャンスは年に1回(1/4 ページ)

» 2014年09月30日 08時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 販促の王道とも言えるダイレクトメール(以下DM)。ハガキや封書を使ったDMは、昔ながらの手法なだけに、その効果に懐疑的だったり、当たり前すぎていまさら取り組むのも乗り気になれない、という人もいるのではないだろうか。

 しかし企業の経営者や販促担当者、お店のオーナーなど、「お客様の顔が直接見えるビジネスをしている企業で、顧客育成や囲い込みに悩んでいるのであれば、DMを積極的に活用すべき」と話すのは、福博綜合印刷株式会社の野口恵庸(よしのぶ)氏だ。大手量販店や百貨店、通販会社の販促支援や、飲食店のCRM戦略支援に長年携わってきた野口氏は、DMのエキスパート。DMの中でも特に狙い目なのが、年賀状を使ったDMだという。

 年賀状としてDMを送るなら、準備するにはこれからがちょうど良いタイミング。ここでは、経営者や企業の販促担当者、お店のオーナーなどを対象に、効果が出る年賀DMを出すためのポイントを、野口さんに聞いていく。

年賀状を使ったダイレクトメール「年賀DM」のポイントとは?(左上から時計回りに、ホテル、クリーニング、婦人服、飲食店の年賀DMの例。クリックすると拡大)

なぜ年賀DMが「効く」のか

福博綜合印刷 東京支社 支社長の野口恵庸氏。さまざまな企業、店舗のCRM支援に取り組んでおり、「ダイレクトマーケテイング・エキスパート」の有資格者でもある

――はがきを使ったDMを出す場合、普通のDMよりも年賀DMがいいという理由を教えてください。

野口: 年賀はがきを使うDMのメリットとして、まず(1)くじが付いているので捨てられない(2)抽選日にもう一度見てもらえる、という2つがあります。「かもメール(暑中見舞い)」にも同じ機能がありますね。

 共通する大きな特徴は「企業からお客様へ出すDMの中で、素直に受け入れられ関係性を強化できる」という事です。新年のごあいさつや暑中お見舞いは、日本の文化として定着していますから、日常生活の中に溶け込み違和感なく受け入れられます。最近ではメールで代用されることも多いのですが、手紙を書く、受け取るという事が減っている中、はがきを受け取ることは、むしろ新鮮な感じ・懐かしい感じがするのかも知れません。

――なるほど、個人が送る、普通の年賀状や暑中見舞いと同じということですね。

野口: 私は、企業がお客様に出す手紙がDMだと考えています。ただ、何もない時に手紙が来ると、驚きもするし怪しい感じも受けますよね(笑)。しかし年賀状であれば、そういう違和感もなく受け入れてもらえます。通常DMと年賀DMの大きな違いは、ここにあります。

 気をつけていただきたいのは、「年賀ハガキを使った通常DM」になってしまわないこと。何故、年賀DMを使うのか? を考えてほしいのです。「反応率が高いと聞いたから」「初売りで集客したいから」……いろいろな理由があるでしょう。もちろんそれも大切ですが、まずはお客様に寄り添い、お客様に誠意を持ってごあいさつする、という思いで年賀DMを作成してほしいと思います。年賀DMには、顧客との信頼関係を生み、関係性を強化するという力があるのですから。

くじ付きの年賀状の場合、抽選日まで長く保管してもらえるのに加え、受け取った日と当選番号の確認の日と、2回見てもらえる可能性が高い。さらに期間に合わせたキャンペーン情報を掲載したり、特典としてクーポンを付けるなどすると、「長く保管されるメリット」を生かせる
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