選挙は「3勝3敗」で、勝てる理由仕事をしたら“選挙の勝ち方”が見えてきた(後編)(4/6 ページ)

» 2013年06月19日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

土肥:そうですね……。例えば、Aの2丁目では自分に投票してくれる人が5人、相手候補が6人という結果が出ていますよね。かなり拮抗しているので、ここを攻めていきますね。ビラをくばったり、演説をしたり。

野沢:私の考え方は違いますね。Aの2丁目は“捨て”ます。

土肥:え? でも、たった1票差なので、ここは逆転できるチャンスがありますよ。

野沢:私がドイ候補者にアドバイスするなら、数字が拮抗している地区は捨てて、勝っているところを狙っていく。もちろんドイさんのように、負けているところに力を入れていく方法もあります。例えば、他の地区では勝っているので楽観ムードが漂っているとします。しかし有権者の3割が「投票先を決めていない」ので、その3割が相手陣営に投じるかもしれない。心配だ……という候補者には、負けているところを狙っていく方法もありますね。

土肥:データを見ていると、年代別でも分けているんですね。

野沢:例えば、ドイさんが40代以下の層に強い。一方、ライバル陣営のマコトさんは60代以上に強いとします。ドイさんをコンサルティングしている立場からすると、60〜70代の人を切り崩すのは難しいと判断します。なので50代を攻めてみては? とアドバイスしますね。

土肥:でもこのデータ……回答者の年代をみると、年配の人が多くて、若い人が少ないですね。特に20代が……。

野沢:若い人はあまり電話にでませんからねえ。

土肥:えっ! ということは、データに偏りが出てくるのではないでしょうか?

野沢:はい、偏っていますね。選挙に限っては偏りがでていてもいいんです。なぜなら選挙の投票率を見てみると、年配の人は高くて、若い人は低いから。さらに人口ボリュームを加味すると、予想以上に票数に差が出ているんですよ。

 例えば、2012年の衆議院選挙に行われた衆議院選挙をみると、60代の投票率は74.93%に対し、20代は37.89%と半分ほど。2009年の衆議院選挙でも同じような結果に終わりました。60代の投票率は84.15%で、投票数は約1546万票。一方、20代の投票率は49.45%なので、投票数は約688万票。もし20代が全員投票しても、60代の投票数よりも少ないんですよ。

 ご指摘されたとおり、電話調査では若い人の回答率が低い。しかし有権者としての母数が少なく、投票率も低いので、データの信ぴょう性に影響はほとんどありません。

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