もう1つ、記しておくべきことがある。「Pivot」と呼ばれるオバマのアジアを重視する政策も訪問の裏にある。アジアで幅を利かす中国を牽制するために、ミャンマーや同じくオバマが訪問したカンボジアなどを、米政府は手なずけておきたいということもあった。
スーチーは、すべてを分かっている。バランスのとれた人物であり、少数民族の問題や民主化などにおいても、本当にミャンマーを良い方向に変えられるのは彼女しかいないと考えるミャンマー人は非常に多い。
経済制裁解除まで、米国の対ミャンマー政策はスーチーにおうかがいを立ててから進められた側面がある。スーチーが米政府のブレインだったともいえる。だが、今回のオバマの訪問にスーチーは乗り気ではなかった。
オバマは、経済を優先してミャンマー訪問を強行したのだ。国名をスーチーが呼び続けているビルマではなく、ミャンマーと呼んだのもその現れかもしれない。要するに、スーチーではなくテインセインを意識したのである。
だからこそ、スーチーは今回のオバマ訪問で、警戒心を込めて、こう言い切ったのだろう。「私たちは改革という幻想に惑わされないように注意しなければならない」と。
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