原発事故の責任は誰にあるのか メディアは追及しなければいけない さっぱり分からなかった、3.11報道(最終回)(2/5 ページ)

» 2012年08月04日 00時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
相場英雄氏

相場:私が勤めていた時事通信社でも、私より上の世代の局次長クラスがたくさん辞めています。そうなれば現場のキャップ、サブキャップクラスがデスクに押し上げられるわけですよ。人材が足りないので、地方がどんどん若い子を入れている。そういう子たちを何人か見ましたが、会社の応援がないので、何をしていいのか分からないといった感じでした。

烏賀陽:太平洋戦争の末期みたいな感じですね。若者か老人しかいない。真ん中は戦死してしまった、というような現象。

相場:まさに、そうなりつつありますね。

烏賀陽:会社が新人を教育しない。なので現場に出された若い記者が、「今のお気持ちは?」といった幼稚な質問をするのではないでしょうか?

相場:そうだと思います。

烏賀陽:戦争末期の日本軍みたいなもので、訓練する余裕もないまま若者を最前線に放りこんでいるのでしょう。それは嘆かわしいことですね。人手が足りないから、教える余裕も時間もない。昔であれば、夕方になって地方版の原稿をデスクに渡し、ホッとしたあたりで、先輩が「今日の原稿について」と若い記者にお説教をしていた。しかし今では記者が自分の原稿の校閲をやっている。なぜなら人員削減が1990年代に始まったから。その余波が確実に悪い方に出ている。

相場:コストカットしてはいけない部分ですよね。

烏賀陽:平時のままだったら何とかなったんですよ。しかし東日本大震災という大クライシスが来てしまったので、震災や原発関連の報道はああいう惨めな結果に終わったと思います。

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