庵野秀明館長「特撮博物館」から考える特撮とアニメの関係アニメビジネスの今(2/5 ページ)

» 2012年07月24日 08時00分 公開
[増田弘道,Business Media 誠]

企画展史上最大の展示に

内覧会であいさつする庵野秀明氏

 7月10日のオープニングに先立ち、7月9日に関係者向けの内覧会が行われた。一足先に展示を見る幸運に恵まれたのだが、噂に違わず、すばらしい出来だった。このジブリ制作の企画展に関しては裏切られることはないのだが、今回は自分の趣向もあってか満足度は高かった。

 毎回ここまでやるかというほどのクオリティを誇っている展示だが、今回はことのほか執念を感じさせるものがあった。この種の展示はさまざまな権利が絡むことが多く、まとまらないケースが多いらしいが、これだけの作品を集められたのはジブリのイメージのクリーンさから協力が得られやすかったためだろう。

 特撮博物館の見どころは、特別に制作された特撮映像「巨神兵東京に現わる」だろう。俳優は出演していないものの、ゴジラやガメラなどの特撮大作映画並みの作品だった。もし、俳優のキャスティングが可能で長尺ものにできるなら(現在9分)、かなりの大作映画になるのではないか。

 「巨神兵東京に現わる」の映像制作も含め今回の特撮博物館のスケールは、関係者の話を聞いたところ「ディズニー・アート展」(2006年)や「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」を上回るとのこと。予算のケタが違うということで、採算ラインに達するためには20万人以上の動員が必要らしい。

 特撮博物館の言い出しっぺである館長の庵野氏がオープニングのあいさつで「たくさんお客さんに来てほしい」と話していたのもそのへんの事情があってのことだろうが、その後のパブリシティのすさまじさを見ても動員新記録を打ち立てる可能性は十分あるだろう。現在入場待ち25分という話を聞いたので、夏休みが終わったところでもう一度出かけたいと思っている。

『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』にて

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.