ハイローラーXが明かす、知られざるカジノの世界(2/5 ページ)

» 2010年12月29日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

――英語は話せなくても大丈夫のような気がしますが、聞き取れない、読めないとなると大変だったのではないでしょうか?

X:とあるカジノに入り、ギャンブルを始めるために現金をチップを交換した。チップの表面には「100ドル」「200ドル」といった価値を示す数字が書かれている。私は1000ドルチップを手にし、しばらく賭け続けていた。そしてしばらくすると、その1000ドルだと思っていたチップが、実は1万ドルチップであることが分かった(笑)。つまり軍資金は10万ドルだったのに、1枚1万ドルのチップを、1ゲームで2〜3枚も賭けていたのだ。

 手元資金の2〜3割を1度に賭ける奴は、あまりいない。そんな私の勘違いも知らずに、どんどん賭けていく姿を見て、カジノ側はびっくりしていた(笑)。「こいつは何者だ?」といった感じ。また1度のゲームで5万ドルを賭けていたこともあったが、たまたまそのゲームで勝ってしまった。それを見ていたカジノのホストは「あいつはウチにとっていい顧客になる。VIP扱いにしよう」と勘違いされてしまった(笑)。

 ラスベガスでの初日はとんでもない経験をしたが、私はカジノの世界に魅了され、その後は世界中のカジノに足を運ぶことになった。

ラスベガス(写真と本文は関係ありません)

――ハイローラーとはどういった人を指すのでしょうか?

 一般的には100万ドル以上のお金をフロントマネーとして預け、高額の賭け金で長い時間遊ぶ人のことを「ハイローラー」と呼ぶ。カジノにとって1晩で1万ドルを賭ける客よりも、100万ドルを賭けるハイローラーの方が効率がいい。ちなみにフロントマネーが1万ドルほどだと、「エントリーレベル」といっていいだろう。

 ハイローラーの負けが一定額を超えると、現金を返還するところが多い。しかしその返還率はカジノによって違う。返還率は数%のところが多いが、ハイローラーを定着させるためにカジノ間では熾烈な競争を繰り広げている。なぜ現金を返すかというと、カジノ側はハイローラーとの関係を維持していくために「リテンションマーケティング」(一度来てくれた客の来店頻度や購買頻度を増やすマーケティング)という手法を行っているからだ。

 ちなみにラスベガスはハイローラーよりも一般のお客の売り上げを重視する傾向がある。総売上の50%以上がカジノ以外からの収益構造となっているからだ。一方、マカオはハイローラーがメインターゲット。ラスベガスと違って、カジノ以外の売り上げは総売上の15%ほどにとどまっている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.