ハイローラーXが明かす、知られざるカジノの世界(4/5 ページ)

» 2010年12月29日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

カジノで勝ち続ける秘けつ

――なぜXさんは20年以上もカジノでギャンブルを続けることができたのでしょうか? 確率論から言えばギャンブルで勝ち続けることは難しいと思うのですが。

バカラを楽しむハイローラーX(写真と本文は関係ありません)

X:私はバカラというギャンブルをすることが多い。バカラというのはバンカーまたはプレイヤーに配られたカードの合計数の下ひとケタが9に近い方が勝ちというゲーム。そして客は、バンカーが勝つと思ったらバンカーに、プレイヤーが勝つと思ったらプレイヤーに賭けなければいけない。なぜこのバカラでプレーしているかというと、カジノで唯一、自分の下した決断で勝負できるからだ。このほかのゲームは基本的にカジノ側が勝ち負けを選ぶことができるので、私はあまりやらない。

 カジノのギャンブルで勝ち続けることは不可能だ。ただバカラで1万ドルずつ賭けて10連敗したとする。しかし11回目で20万ドルを賭けて、そのゲームで勝てば10万ドルのプラスとなる。繰り返すが、すべてのゲームで勝つことはできない。つまり負けの回数ではなく、いかに自分の好きな数字が出たときに勝負できるかがポイントになる。

 もちろん人によって軍資金は違うので、まずは10ドルずつ賭ければいい。そして「ここが勝負どころだ」と感じたときには1000ドル、いや1万ドルを賭けることができれば、勝つ可能性が高まるのではないだろうか。

――カジノではどのような方と出会う機会がありましたか?

X:いろんな人間と出会ってきたが、15年前、ラスベガスで面白い男と遭遇した。当時、20歳くらいの彼はこのように言っていた。「ボクは日本で親に勘当されて、ラスベガスに転がり込んできた。親に勘当されたが、そのときに1000万円をもらった。そしてその1000万円を元手にして“1日に10万円勝つ”――これがいまの自分の仕事だ」と。

 彼の言う通りに勝ち続けると、1カ月後には300万円ほどのお金が懐に入ることになる。1年後には3600万円。さらに彼は「ボクは10年間この仕事を続けて、日本に帰国して起業する」と言っていた。

 彼はコンプサービスを受けていたので、ホテル代や飲食代はタダ。つまりラスベガスにいる間、ほとんどお金を使わない生活を送っていたのだ。

 5年後、再び彼と会う機会があった。そのときも、まだラスベガスでギャンブルを続けていた。そして10年後には公言していた通り、日本に帰国。カジノで稼いだお金を資本に、IT企業を立ち上げ、今では上場企業の社長に登り詰めている。

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