元気がないと言われるが……ニホンの若者には何が足りないのかちきりん×磯崎哲也のマジメにおちゃらける(2)(4/6 ページ)

» 2010年12月07日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

イマの若者には何が足りないのか

磯崎:「日本の若者は活気がない」「やる気がない」などと言われていますが、ある人にはあります。倭寇(わこう)や戦国時代、明治維新後の日本人は、かなりグローバルな視点を持って活躍していたと思いますし、日本人全体の遺伝子がたった数千年単位で変異を起こすはずもない。少なくとも遺伝的な意味で「日本人が大人しくなってしまった」なんてことはあり得ません。

 必要なのは「正しい知識」と「刺激」なんです。「事業に失敗したら大変なことになる」といった漠然としたネガティブな知識がある状態でなく、「知り合いの知り合いが起業して大成功してすごく楽しそうだ」といった情報が伝わることが重要だと思っています。

 ITバブルがあった2000年ころには、コミュニケーションツールがありそうでなかった。電子メールを送ることはできましたが、まだブログはなかった。もちろんTwitterもmixiもFacebookもなかった。

 2000年ころに「ビットスタイル」という交流会がありました。最後のイベントでは、起業家や学生など2000人以上が、六本木のディスコ「ヴェルファーレ」に詰め掛けました。

ちきりん:いまとなっては伝説ともいえるイベントですね。

磯崎:ですね。知り合いが裏方として働いていたので、そのツテで、このとき初めてディスコのVIPルームに入らせてもらった(笑)。VIPルームが控え室だったんです。控え室にはソフトバンクの孫正義さんや日本銀行の故速水優総裁も来ていました。ディスコという箱に2000人が集まったのですが、そこで知り合いになれたのはほんの十数人程度だったと思います。しかし今では中学生でもTwitterで数千人のフォロアーを集めたり、有名な上場企業の社長とも「この人と知り合いになりたい」と思えば、できてしまう。

ちきりん:そうですね。

磯崎:ところで、@GkEcくん(Twitterで経済学について語る中学生のアカウント名)とはお知り合いですか?

ちきりん:メールのやりとりだけで、会ったことはありません。最初は彼が私のところに連絡してきました。私がまだTwitterをしていなかったころに「ちきりんブログが更新されたときに、それを知らせるbotを作りたいのですが、いいですか?」と。それに対して私が「いいですよ」と返事をしたのが始まりです。

 いきなり名前も知らない中学生が、丁寧なきちんとした文章で連絡をしてきました。おそらくネットを通じて大人とのコミュニケーションをある程度してきていたからだと思います。メールの文章を読んだだけでは@GkEcさんが、大人であるか子どもであるかは分かりませんでしたね。

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