北川さんのライブは、ご自身が組織するバンド「ヨーデル北川桜とエーデルワイスムジカンテン」とともに行っている。
「フリーランスのミュージシャンが、30人ほど登録しているバンドです。その中で常連さんといえるのは15〜20人くらいでしょうか。皆フリーでやっている方々ですから、結果として長く一緒にやらせていただくことはあっても、『最初からこのメンバーで一生やってゆこう』と決めている人はいないんです」
プロとしての独自の音楽スタイルをもった人たちを束ねて、北川さんが目指す「ホンモノのヨーデル」を毎回実現してゆくには、それ相応のご苦労があるように思われるのだが……。
「日本の音楽シーンでは、飲み会などでの人的なつながりから次の仕事に結びつくことがありますが、欧米では、実力のあるところに仕事が来ます。私も、そうした欧米型に近いとでも言いましょうか、オーディションをして、音楽的なセンスとか、仕事に対する考え方などを確認して、自分のスタイルと合う人を最初から選ぶようにしています。その上で、本場の音楽訛りをバンドのメンバーに教え込むようにしています」
オーディションで選ばれた優秀な人といえども、時として、北川さんと異なる意見をもって、バンドとして、方向性の一致が難しいという場合はないのだろうか?
「違う考えの方とは一緒にやっていませんから(笑)。『アルプスの音楽に関しては、桜の言うことを聞こう』と思ってもらえるよう、日々努力しています。絶えざる自己研鑽(けんさん)が必要だという背景には、そうした事情もまた存在するのです。お客様に楽しんでいただきたい、ホッとしていただきたいという私のステージ作りに共感して下さったり、どんな小さな本番でも全身全霊で真剣に取り組む私の姿勢に共鳴してくださる方が、一緒にやってゆける仲間であると、私は思います」
経営学を学んだ経験も、ビジネスパーソンとしての経験もない北川さん。しかし彼女の考え方は、現代のビジネスシーンにおいて非常に高く評価されるべき内容であると筆者は感じる。
彼女は、どういう人生を歩む中で、こうした素養を身につけてきたのだろうか? それを後編で明らかにしたいと思う。
12月7日:銀座ゲルマニアにて。ヨーデル北川桜とビアムジカンテンより3人編成。ドイツバイエルンヨーデル、オーストリアヨーデル、カウベル演奏など。
12月19日:ハイデルベルクドイツ語学院クリスマスパーティに出演。霞ヶ関の法曹会館にて。ヨーデル北川桜とビアムジカンテンより2人編成。ドイツバイエルンヨーデル・オーストリアヨーデル、カウベル演奏、ドイツのダンスなど。
12月20日:横浜チアーズ:ヨーデル北川桜とビアムジカンテンより3人編成で。ドイツバイエルンヨーデル、オーストリアヨーデル、カウベル演奏など。
12月27日:ドイツビアホール ツム ビアホフにて。新宿歌舞伎町にある、ミュンヘンの『ホフブロイハウス』を再現したドイツ式ビアホールで、本場ドイツ同様の盛り上がりを。詳細は未定。
→そのほかの予定はこちらから。
1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」、「43の図表でわかる戦略経営」、「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング