冷房のあるところで生まれ育ち、お抱えのシェフが作る料理を味わうアッパークラスのインド料理を日本で紹介するべく、シターラは2004年夏にオープンした。日本の食材との相性を100種類以上のカレーで試した末のラインナップは、インド各地の味を忠実に再現している。「ゴア・プローン・カレー」は、ココナッツミルクとタマリンドを使った南インドのゴアスタイルのカレー。タマリンドというマメ科の植物の酸味とココナッツミルクの甘味を融和させたカレーは、辛くてスパイシーなものをインドカレーと思っているものには新鮮だろう。「パラク・パニール」は新鮮なほうれん草とコクのある自家製インドチーズを合わせたもの。酸で固めるインドスタイルのチーズは、熱を加えても溶けないため、独特の食感を楽しめる。カレーと食べるライスやナンももちろんこだわっている。インドの最高級の香り米にクローブを加えた「バガル・バスマティライス」は、もはやフレンチの世界といってもよいだろう。 |
ゴア・プローン・カレー(ゴア風エビカレー) |
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パラク・パニール(ほうれん草カレー) |
洗練された料理に合わせて、ワインも常時30種類以上用意されている。「シャトーヌフ デゥ パフ」は、白でも冷やさずに飲めるほどしっかりとした味のワイン。赤では「シラー」も人気だ。スパイスの効いた料理にワインというと難しそうだが、ぜひ試してほしい。ワイン以外では、インドではお馴染みのアペリティフを味わえるのもシターラの魅力。日本でも馴染みのある「ラッシー」も、スイート・ソルティー・マサラの3種類が飲める。それ以外にも、「チャース」というヨーグルトに野菜とスパイスを加えたスープのような飲み物や、「ジャルジーラ」というクミンとミント味の冷たい飲み物がある。「ジャルジーラ」はインドを知っている人ならば「懐かしい!」と味わうが、初めて飲む人は驚くというしろもの。クミンのスパイスとミントの爽やかな風味を愉しむのが現地流だが、日本人には驚きの味なので一度体験してみるのもいいだろう。 |
シラー 2005年 |
シャトーヌフ |
取材・文/+D Style編集部
撮影/菅沢 健治