Mobile:NEWS 2003年12月26日 07:06 AM 更新

今年も吼えた!〜携帯業界キーパーソンの発言を振り返る(2/2)


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 夏野氏が強気な発言をする一方、立川敬二社長は慎重な発言が多かった。「1年ちょっとの間は比較的低迷していました」(7月17日の記事参照)というFOMAは、2003年度末で146万契約という目標が掲げられ、その後移行が好調なことから200万に上方修正された(10月30日の記事参照)。

 携帯電話へのGPS搭載については「マンナビだけで積極的に売る気はありません」7月17日の記事参照)と発言。この次の日にはKDDIの執行役員高橋誠氏が「ドコモがマンナビをやらないのなら、われわれは積極的に推していく」7月18日の記事参照)というなど、ちょっとした舌戦が繰り広げられた。

 弱気な発言が出始めたのは、純増数でauに抜かれ始めたころからだった。800MHz帯の3G利用について立川社長が「auは少しズルイ」12月4日の記事参照)とコメント。900iシリーズの発売前日にはiモード事業本部長、榎啓一氏が「もしも“ドコモ面白くないからauに行こうかな”という方がいたら一瞬止まって、来年の2月頃に出る予定のFOMAを見てからご判断いただきたい」と、“待った”をかける場面もあった。

自信に満ちた発言が目立ったau

 このところ純増数でドコモを追い抜き続けるなど、勢いを感じさせるau。この1年は、これまでの苦労が花開いた年でもあり、幹部の発言も自信に満ちていた。

 WPC フォーラム 2003の講演に立った小野寺正社長は「1つの端末で、1つの番号で、国際ローミングを行えるのはauだけ」(9月19日の記事参照)とアピール(当時)。定額制データ通信サービスを音声端末として始めて打ち出したCDMA 1X WINサービスの発表会では、「次の世界を我々が開く。1X WINはケータイ版ADSL。ブロードバンド携帯が誕生した」と、熱く語っている。

 デザイン志向の端末として大きな注目を集めたINFOBARの発表会では、auプロダクト統括部長の牧俊夫氏が「他社もデザインに注力してきているが、半歩先を進みたい」とコメント、デザイン面で他社に先駆けていることを印象付けた。

 ただしアツくなりすぎたがゆえのフライングも。au初のメガピクセルケータイ「A5401CA」の発表時に「他社さんはずいぶん前に発表しているが、市場には一番最初に出せるのではないか。5月の26日の週を考えている」(5月14日の記事参照)と牧氏が発言。ところが、カメラ付きケータイを最初に出した意地もあってかボーダフォンがメガピクセル搭載機「J-SH53」を特定ショップ限定で先行発売(5月21日の記事参照)。結局、ボーダフォン、ドコモに次いで最後に登場するというほろ苦いデビューになってしまった。

グリーン社長の“言っちゃった”発言

 名実共にボーダフォンになった2003年、ボーダフォンにとっては3G開花の年になるはずだった。2002年末にダリル・グリーン社長は「2003年の契約者数目標は100万程度」と話していた(12月3日の記事参照)。

 しかし3Gの本格展開が始まったのは、「V801SA」(12月1日の記事参照)が市場投入された12月から。契約者数も11月で9万3200にとどまった。グリーン社長は「上半期はメガピクセル(カメラ対応端末)以外、寂しかったかな」とコメント(11月18日の記事参照)。「3GPP標準を守るために、時間がかかったのは仕方がない」と、遅れの理由を説明している。

 ただし、2004年には世界標準であることの強みを生かした展開を図っていく考え。ただし今後はNOKIA製の「Nokia 7600」、シャープの「V801SH」も控えている(11月18日の記事参照)。2004年の3G端末ラインアップに期待したい。



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[後藤祥子, ITmedia]

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