ダイハツがスモールカーに特化する理由は2つある。1つは、スモールカー作りに関して世界有数のノウハウの蓄積があり、強み戦略が取れることだ。もう1つはトヨタとのすみ分けだ。トヨタグループ内の自動車メーカーは現在、トヨタ、ダイハツ、日野、スバルの4社。トヨタはヤマハといすゞの株主でもあるが、戦略的関係に関しては4社と考えていいだろう。当然それぞれのすみ分けがあり、トヨタが普通車、ダイハツが軽、日野が商用車、スバルはキャラクター性の高いクルマとなっている。
ダイハツが中型車や大型車開発に積極的に乗り出せば、テリトリーの境界線を崩す。それをトヨタがどう思うかを別にしても、トヨタと同じジャンルで技術を磨けば磨くほど、トヨタに飲み込まれるリスクが高まる。だったら、軽自動車に特化して独自の存在価値を維持する方がいい。つまりダイハツはスモールカー作りが得意で、かつそれ以外に手を出すのは相応のリスクがあるのだ。
ダイハツのエンジニアリングの核となるのは「e:S(イース)テクノロジー」だ。これについてダイハツは2011年のニュースリリースで「エンジン・トランスミッション・ボディ構造などの既存技術に対して、あらゆる面から徹底的なブレークスルーを行なうことで、エネルギー効率を最大化し、約40%の燃費向上を実現した」とアナウンスしている。
例えば、エンジンについての主要技術は、現在のトレンドをほぼ網羅している。代表的な技術を列記すると以下のようになる。
簡単に言えばガソリンを効率良く燃やしてパワーに変えているということだ。もう少し細かく言えば、燃料と空気の混ざりを良くして、高い圧力で燃焼させ、併せて吸気負荷によるポンピングロスを減らしている。またデュアルインジェクタについてはトヨタの技術がフィードバックされているものと予想される。
さらに、オルタネータ(発電機)を利用したエネルギー回生システムも推進中だ。これはローコストな簡易ハイブリッドで、減速時のエネルギーを回収再利用するシステムだ。トヨタの本格的なハイブリッドと比べると能力は限定的だが、軽量で安価。エネルギー回生を普及し、裾野を広げることに役立つ重要な技術である。
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