だからリニアも? 名古屋都市圏は新しい乗りものがお好き杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/5 ページ)

» 2015年05月01日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

「リニモ」

 磁気浮上式リニアといえば中央新幹線の代名詞となっているけれど、既に磁気浮上式の路線は名古屋で開業していた。愛称は「リニモ」。愛知万博に合わせて開業した磁気浮上式リニアの路線で、愛知高速交通が運行している。ただし高速鉄道ではなく、新交通システムのような運行形態だ。名古屋市営地下鉄東山線の終点、藤が丘駅と、愛知環状鉄道の八草駅を結んでいる。途中に長久手古戦場駅や愛・地球博記念公園駅などがある。

 リニモもJR東海の中央新幹線も磁気浮上式リニアだ。しかし構造が違う。中央新幹線は磁石の反発力で浮上する。リニモは車体がレールを抱え込み、車体の下側に上向きで設置された電磁石がレールの鉄を引きつける力を使って浮上する。このシステムは、かつて日本航空が東京〜成田空港間を結ぶ高速鉄道向けに開発していたHSST(ハイ・スピード・サーフェス・トランスポート)である。HSST方式の交通機関は世界でここだけだ。

 リニモの特徴は車輪がないので走行音が小さく、磁気吸引力で走るため勾配に強いところ。実際に乗ってみると、浮上式とはいってもフワフワとした感覚はない。浮上力は常に一定に保たれているため、がっしりとした接地感がある。リニモの弱点は、既存の新交通システムやモノレールに比べて建設・維持コストが高い。沿線の開発が進み乗客は増加傾向だが、未だ赤字とのこと。

「リニモ」こと愛知高速交通東部丘陵線。台車がレールを抱える構造だ 「リニモ」こと愛知高速交通東部丘陵線。台車がレールを抱える構造だ

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