インタビュー
» 2015年03月11日 08時00分 UPDATE

仕事をしたら“宇宙”に飛んだ(中編):宇宙からの画像で、どんなビジネスが生まれるのか (1/5)

小型の人工衛星を開発しているアクセルスペースは、2020年をめどに衛星を50機ほど打ち上げたいという。そんなにたくさん打ち上げてどんなビジネスを始めようとしているのか。同社の中村CEOに話を聞いた。

[土肥義則,Business Media 誠]

仕事をしたら“宇宙”に飛んだ:

 2013年11月。人工衛星の歴史に……いや、宇宙の歴史に……いやいや、ビジネスの歴史に新たな1ページが加わった(かもしれない)。東京大学発のベンチャー企業「アクセルスペース」が、民間企業としては世界初となる商用の超小型衛星を打ち上げたのだ。

 「人工衛星が打ち上がっただけでしょう? それだけでビジネスの歴史って、大げさな」と思われたかもしれない。確かに、大げさかもしれない。しかし人工衛星をどう使うかによって、これまでにないビジネスが次々に生まれるかもしれないのだ。

 アクセルスペースが飛ばした人工衛星は、気象情報などを提供しているウェザーニューズが北極海域の海氷観測に利用している。大きさは、一辺27センチ、重量は10キログラム弱。大型の人工衛星は重さ5トンを超えるので、同社のモノはとにかく小さい。

 NASA(米国航空宇宙局)やJAXA(宇宙航空研究開発機構)などが中心になってつくられている大型の人工衛星は、数百人の技術者が10年ほどの歳月をかけているので、価格は数百億円に達する。いわば国家プロジェクトなのに対し、アクセルスペースは10人ほどのスタッフが、1年〜2年でつくり上げる。人件費が安く抑えられるので、価格は1億〜2億円ほど。ちょっとしたお金持ちであれば「ヘリコプターを買うのを止めて、人工衛星にするよ」と言えるほどの“お手頃価格”なのだ

 牛丼チェーンを展開する吉野家の企業コンセプトは「うまい・安い・速い」。この言葉をアクセルスペースに当てはめると「小さい・安い・速い」といった感じ。そんな「小さい・安い・速い」人工衛星を宇宙に飛ばすことで、世の中はどのように変わっていくのか。同社の中村友哉CEOに話をうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。

 →民間企業「アクセルスペース」の人工衛星が、ものすごく安い理由(前編)

 →本記事、中編


中村友哉氏のプロフィール:

 1979年三重県生まれ。東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了。在学中に超小型衛星XI-IV、XI-V、PRISMの開発に携わる。

 卒業後、同専攻での特任研究員を経て、2008年にアクセルスペースを設立。2013年に世界初の民間商用超小型衛星「WNISAT-1」、続いて2014年に地球観測jビジネス実証用超小型衛星「ほどよし1号機」の打ち上げに成功。技術系ベンチャー支援団体「TEP」のアントレプレナー会員。


宇宙の使われ方を変えていきたい

土肥: アクセススペースは2008年に、民間企業としては世界初となる商用の小型衛星を打ち上げられました。宇宙開発に携わっている会社が増えている中、御社の強みは「価格が安い」こと。単に「人工衛星を打ち上げて、宇宙から写真を撮って終わり」ではなく、これまでにはない形が広がらなければいけないという話がありました。特に、プラットフォーム化を目指しているということですが、どういう意味でしょうか。

中村: 人工衛星といえば「GPS」や「ひまわり」などを思い浮かべる人が多いと思うのですが、私たちは“宇宙の使われ方”を変えていきたいと思っているんですよ。

 2014年に「GRUS(グルース)」という小型衛星の開発を始めました。これまでの人工衛星といえば「地上の物体をどれだけ細かく見ることができるのか」といった技術を向上させてきました。しかし、ユーザーがある地点の撮影を希望しても衛星が撮影地点の上空に到達するまでに数日かかることも。到達しても、撮影地点が雲で覆われていることも。そうすると、ユーザーが希望する画像をうまく撮影できません。しかもその画像って1枚いくらくらいすると思いますか?

土肥: うーん、10万円くらい?

中村: 100万円ほどするんですよ。

土肥: 100万円! 高い!

中村: 高いですよねえ。1枚100万円もする画像を利用できるのは、一部の人たちに限定されます。そうした従来の形を変えていきたいんですよね。

土肥: 具体的にはどのように?

yd_eisei1.jpg 人工衛星は私たちの生活をどのように変えるのか(写真はイメージです)
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