コンビニ本部で社員をして10年余り、いわゆるスーパーバイザーなるものを経験し、何を思ったか、独立オーナーに転身した。齢40にして、自分の仕事についての足跡を残したくなり、Webサイト「コンビニ手稿」と、誠ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議を始める。
旅行とお酒が大好きだが、コンビニ経営をしていると、なかなか旅行に行く時間がとれない。その一方で、アルコールの量は増えるばかり。
多くの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。決して大きなスペースではないが、そこで何が起きているのだろうか。陳列台にはたくさんの商品が並んでいるが、何が売れているのか、またなぜ売れているのか。コンビニの現在と過去を紐解きながら、ちょっとした“謎”に迫っていく。
筆者は大手コンビニの本部社員として活躍し、現在では店舗を構えるオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?
大阪府茨木市のコンビニで、ちょっとした“騒動”が起きた。多くの方はご存じだと思うが、コンビニに来店した男女数人が店員の態度に言いがかりをつけたのである(関連記事)。「謝罪の気持ちが見えへん」「しつけが悪いからこんなことになったんや」などと言って、土下座をさせたり、おわびとして商品のタバコを要求したりしていた。
ここまでであれば男女の行動はバレなかったかもしれないが(当然いけないことである)、彼らは店員に土下座などをさせた様子を動画サイトに投稿。すると、ネット上では猛烈な批判が相次ぎ、彼らは「怖くなった」として、警察に出頭し、逮捕された。
多くの人は「犯人は逮捕されたので、一件落着」と思われるかもしれないが、コンビニ店のオーナーを務める筆者の考えは、ちょっと違う。「このような事件は、これからも続くだろう」と見ているのだ。なぜなら、コンビニというサービス業の根本に「接客」というジレンマがあるからだ。
コンビニはサービスをして当たり前。お客さまに丁寧な「接客」をするのも当たり前。このように考えている人も多いかもしれないが、店側の人間からすると「お客さまの要望にどこまで応えればいいのか」という問題があるのだ。この問題はコンビニだけでなく、スーパー、百貨店など、すべてのサービス業に共通する悩みではないだろうか。
例えば、駐車場での無断駐車。長時間クルマを駐車している人に注意をすると「オレ、買い物したぜ」「5分、10分くらいいいだろう(このように言われたときは、だいたい30分~1時間である)」などと言い返される。
誰でも停めることができる駐車場は、買い物に付属するサービスなのか、それとも買い物が快適になるように用意したサービスなのか。明確な答えを見つけようとは思わない。こちらも「まあ、買い物をある程度してくるのであれば、それでいいかな」と見逃していた。要するに、これまでは微妙なバランスでうまくやってきたのだから、これからもうまくやっていけるだろう。
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