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» 2014年03月19日 08時00分 UPDATE

ビジネス英語の歩き方:安易な英語乱用や大仰な日本語訳を見直す (4/4)

[河口鴻三,Business Media 誠]
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ときには「大和言葉」に翻訳してみるといいかも

 ほかにも例を挙げればきりがないのですが、こういう大仰な表現を惰性で使うのではなく、整理していったほうがいいでしょう。大事なことは、いま世界の主流になっている英語(米国英語)は、なるべく平易に、モダリティを減らして、世界の共通語として使いやすい方向に進んでいる(参考記事)ことと、日本語も方向性を一致させたほうがいいということです。明治時代の白話運動(漢語中心の難解な文語表現をやめて、口語と同じ文章を書き言葉にも使うことを政府が主導)を思い出すべきです。明治維新は、言葉の革命でもあったのです。

 日本語訳がそこからずれていけばいくほど、日本人は英語ベタを改善できないということになりかねません。英語を日本語化する際にも、大和言葉をもっと使うようにすれば、日本人はもっと分かりやすい表現で議論できるようになると思うのですが、大和言葉には、抽象的概念を名詞で表現する機能が弱く、残念ながら法律や技術についての議論には向いていないと言わざるを得ません。

 このごろ世界的に問題を引き起こしている「ビットコイン」なども、「かりそめのお金」「絵空事のカネ」などという表現では間が抜けて話が進みません。歴史的に大和言葉は、人の感情、人間関係を表すことに機能を進化させてきた部分が大きく、抽象的な議論、客観的な議論をする部分については、もう何百年も進化を止めたままになっているような気がします。

 しかし、あまりに難解な言い回しを解きほぐして、一体それはどういうことなのかと落ち着いて議論するときには、大和言葉に立ち返ってみましょう。大和言葉に「翻訳してみる」くらいの作業をすると、ものごとの本質が見えてきます。

 新しい概念、出来事などを取り上げるときには、なるべく平易な表現を心掛ける。そういうことが日本人のコミュニケーション能力を高めることにつながるのではないかと思います。英語ベタ克服のカギにもなるのではないか。「急がば回れ」という、しっくりくる大和言葉のことわざが、ここでも真実をついているような気がします。

著者プロフィール:河口鴻三(かわぐち・こうぞう)

河口鴻三

1947年、山梨県生まれ。一橋大学社会学部卒業、スタンフォード大学コミュニケーション学部修士課程修了。日本と米国で、出版に従事。カリフォルニアとニューヨークに合計12年滞在。講談社アメリカ副社長として『Having Our Say』など240冊の英文書を刊行。2000年に帰国。外資系経営コンサルティング会社を経て、現在は執筆活動に従事。異文化経営学会、日本エッセイストクラブ会員。

主な著書に『和製英語が役に立つ』(文春新書)、『外資で働くためのキャリアアップ英語術』(日本経済新聞社)がある。


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