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» 2014年01月07日 10時00分 UPDATE

女神的リーダーシップ:ティー・リーフ・ネーションの記事は果敢で頼もしい (1/5)

慕容(ムーロン)のリベラルな思想にもとづく心の叫びは、中国の開放と民主化に向けた数々の動きを後押しした。ただし、ティー・リーフ・ネーションの論調は反体制一色ではない。

[ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ,Business Media 誠]

集中連載「女神的リーダーシップ」について

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 本連載は、ジョン・ガーズマ+マイケル・ダントニオ著、書籍『女神的リーダーシップ』(プレジデント社)から一部抜粋、編集しています。

「世界を変えるのは、女性と“女性のように考える”男性である!」

ギリシア神話の女神アテナは、文化文明と芸術工芸の守護神であり、戦いの神としての顔も持つ、武力ではなく知恵によって人々に勝利をもたらす。

世界13カ国、6万4000人を対象にした調査から明らかになった、理想のリーダー像とは? 世界で成功している起業家、リーダーが示す特徴の多くは、思想や宗教、文化に関係なく「誠実」「利他的」「共感力がある」「表現力豊か」「忍耐強い」など、一般に「女性的」といわれる資質であることが浮彫となった。

ヒラリー・クリントン前国務長官が「賛辞」を送り、『ワーク・シフト』の著者、リンダ・グラットン教授が絶賛した話題の書、ついに翻訳化!


自分たちの声で人を救うことができる

 フローラ・ランが、平和的に変革を進める軍隊の中国生まれの歩兵だとしたら、デービッド・ワータイムは世界へ向けて情報を発信する最前線の通信員だ。彼の会社ティー・リーフ・ネーション(Tea Leaf Nation)は同名のウェブマガジンを発行し、国内外に向けて、中国全土の急激な変化と発展についての気の利いた解説をしている。ワータイムと同僚によるリポートは、ソーシャルメディア上の投稿を参考にしているが、類似サイトとは異なり、BOTと呼ばれるコンピュータ・プログラムに頼った情報収集は行っていない。むしろ、サイト上の説明によると「中国のソーシャルメディアに毎日目を通してトレンドを探り当て、人々の感情を読み取り、主なニュースの深層に迫る」という。

 ティー・リーフ・ネーションの記事は果敢で頼もしい。反体制派の書き手による「中国の穏健化を求める」という投稿の翻訳が掲載されたこともある。著者の慕容雪村(ムーロン・シュエツン ペンネーム)はこう訴える。

 「われわれは建前上はいくらかの権利を有するが、現実には人権など与えられていない。建前上は収入は増えたが、市場に行けば肉を買う金もないことに気づく。建前上は奮起した人もいるとされるが、現実には相変わらず地を這うような状態にある。建前上は山をいくつか動かしたというが、現実には穴に落ちただけである。建前上は国の主(あるじ)だが、現実には鎖につながれている」

 慕容のリベラルな思想にもとづく心の叫びは、中国の開放と民主化に向けた数々の動きを後押しした。ただし、ティー・リーフ・ネーションの論調は反体制一色ではない。あるときは中国で不法に生活、就労する外国人への取り締まりに着目した。政府の厳正な措置への支持の高まりを指摘したこの記事に対しては、反論ではなく、賛成の嵐が巻き起こった。

 このニュースに寄せられた11万4000件のコメントの一部に目を通したところ、政府の措置については怒り交じりの賛成意見が圧倒的多数であることが分かったという。大勢が「もっと早くやるべきだった」「後手に回っても放置するよりはよい」と述べていた。「大連、上海、広東でも同じような措置を取るべきだ」と意見を出す人々もいた。全体の論調は、中国に「よそ者」として滞在する経験を余儀なくされた者にとっては、ひどく頭の痛いものだったはずだ。ある書き手は、北京の警察が使ったきわどい表現を取り上げて、「『一掃』はまさに打ってつけの表現だろう。街中のゴミを一掃するのと変わらないからね」と絶賛した。

 このウェブマガジンが幅広い意見を受け入れる背景には、政府が折々に言論を統制しているにもかかわらず、ソーシャルメディア上での発言が爆発的に増えている現状がある。デービッド・ワータイムは首都の北京でわたしたちの取材に応じて、その現状を説明してくれた。巨大都市・北京では、威圧的な政府の建物と延々とつづくまっすぐな通りが目の錯覚を引き起こす。活気でこそ上海に劣るが、ここ北京は強大な官僚機構や数多くのメディアの本拠である。この地ではまた、ウェブとソーシャルメディアの破壊力にどう対処すべきか、政策当局者が苦悶をつづけている。

 ワータイムは「中国政府はウェブやソーシャルメディアの力を削ごうとして、これまでに何度か措置を取っています」と語った。当局はときどき、特定のブロガーのアカウントや物議を醸している投稿の削除に乗り出すのだ。しかし、2億5000万人に達するソーシャルメディア利用者による投稿量は膨大であるため、簡単にはコントロールできず、政府の努力は暖簾(のれん)に腕押しの感がある。事実、政府高官はたいていの場合、インターネットを遮断せずに自由な意見交換を許容するか、大規模な抗議行動を招くリスクを覚悟で厳しく規制するか、二者択一のジレンマに陥っていた。

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