ティー・リーフ・ネーションの記事は果敢で頼もしい女神的リーダーシップ(4/5 ページ)

» 2014年01月07日 10時00分 公開
[ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ,Business Media 誠]

 旧体制のもとで平等を経験した女性は、教育や就労の機会に関して男女差はないと感じたかもしれないが、抑圧も男女分け隔てなく受けた。目立つことを恐れる人々は、自分の資質や強みを生かして経済をダイナミックに拡大させようとはしないだろう。自由度が増して制約が小さくなるとその潮流にうまく乗る女性も現れたが、女性的な柔軟性や創造性が真に発揮されたのは、次の世代になってからである。現在、中国政府が公表する大富豪の30%は女性が占めており、リーは彼女らをはじめ、輝かしい成果を誇る女性革新者を何十人も挙げられるという。最も注目される女性は、例えば以下の人たちである。

洪晃(ホン・フアン)

 中国初のデザイン・ミュージアムの館長。ソーシャルメディアで250万人のフォロワーを持つ。毛沢東の英語の先生を母親に持つ洪晃は、著名な作家、ファッション誌の発行人、いまをときめくアパレルストアの経営者などの顔を持つ。

王银香(ワン・インシアン)

 中国国際航空(エア・チャイナ)の副会長。中国共産党の最高幹部でもあり、政界と産業界の両方を股にかけて活躍する。成長著しい中国の航空業界でひときわ大きな存在感を放つ。

胡舒立(フー・シュリ)

 多大な影響力を誇る雑誌『财经(カイジン)』を創刊。中国政府の圧力に屈せずに、国内で起きた自然災害を政府の対応を含めて詳細に報じてきた。アメリカのある著名ジャーナリストに言わせれば「(中国人にとっての)報復の天使」。国内では「最も危険な女性」と称される。

张欣(ザン・チン)

 いまや北京で最大の不動産開発会社、SOHO中国有限公司の共同創業者。夫との二人三脚により、アジアの不動産会社として史上最大規模のIPO(新規株式公開)を香港市場で果たした。

蒋琼耳(ジャン・チョンアル)

 中国初のラグジュアリー・ブランド、シャン・シャ(ShangXia)を展開。提携先のエルメスと同様に上質で美麗な品々を提供し、巨大な中国市場で最大の高級服飾メーカーとなる。商品はすべて現地の職人に作らせ、「安かろう悪かろう」という中国製品のイメージ払拭に貢献している。


 今日の成功した中国人女性の代表格は、1980年代に成人した「ポスト毛沢東世代」である。彼女たちは、中国政府は本気で改革に取り組み、創造性を解き放ち、完全にではないにせよ異論を認めたりしようとしている、と受け止めている。主要国の女性リーダーとの共通項も多い。親の世代とは違い、「物事を批判的、創造的に捉えて、古いものを変える力」(ベシー・リーの言葉)を備えている。そのうえ、政府の横槍が入らないやり方で中国を変えるための柔和な力、いわゆる国際政治でいうところの「ソフトパワー」を持ち合わせている。具体的には、メディアを活用したり、型破りで野心的な発想を称える社風を築いたりするのだ。

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