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» 2013年12月20日 06時52分 UPDATE

杉山淳一の時事日想:“葬式鉄”に学ぶ、不要なモノと別れる方法 (1/5)

鉄道路線や寝台特急の廃止が決まると、全国から鉄道ファンが集まってくる。そうしたファンのことを“葬式鉄”と呼ぶ人がいるが、彼らが行う儀式にモノとの別れ方の手本があるかもしれない。

[杉山淳一,Business Media 誠]
yd_sugiyama1.jpg 「ありがとう183系 M32編成 M31編成 千葉から長野への旅」パンフレット(出典:JR東日本)

 2013年12月15日。津田沼発長野行きの団体列車が走った。使用車両は183系という国鉄時代の特急型車両だ。直流電化区間のエースとして、関東では東京から伊豆方面の「踊り子」、東京から甲府・松本方面の「あずさ」、東京から房総方面各地への特急列車に使われていた。1977年のヒット歌謡曲『あずさ2号』で歌われた列車は、この183系も使われていた。

 津田沼発長野行きの団体列車はJR東日本が企画した。旅行タイトルは「ありがとう183系 M32編成 M31編成 千葉から長野への旅」(参照リンク、PDF)だ。この名からも察しがつくように、183系特急電車の最後を飾る「お別れツアー」である。津田沼発となった理由は、付近の幕張車両センターがこの車両の配属だったから。長野行きとなった理由は、JR東日本の首都圏で使用された電車は、北長野駅付近にある「長野総合車両センター」で廃車、解体されるから。

 つまり、このツアーは廃車のために長野へ回送される183系電車にお客を乗せて、団体列車として仕立てたわけだ。お客さんは日帰りで戻ってくるけれど、復路は長野新幹線の利用となる。183系電車は片道運行で、もう戻ってこない。本来は空荷で走る電車にお客を乗せてひともうけ。料金は大人1名1万5000円。鉄道会社にとってオイシイ話である。JR東日本は、2011年にも113系電車のお別れツアーを実施している。鉄道ファンにとっても、最後の乗車でしみじみとお別れする機会で、今後も同様のツアーが実施されるだろう。

 こうした「お別れ乗車」は各地の鉄道会社が実施している。大井川鐵道は2014年1月と2月の土曜日に、3000系電車の引退ツアーを実施する(参照リンク)。3000系は元は京阪電気鉄道の特急用電車で、大井川鐵道では普通列車として運用されていた。大井川鐵道はSL列車で有名だけど、実はこうした大手私鉄の中古車両も人気の1つである。

 大井川鐵道は3000系の引退の花道を演出するため、往路は新金谷駅から千頭駅まで急行運転、復路はノンストップ特急として運行するという。料金は大人1名7000円だ。同区間の往復運賃は3440円だから、倍の値段が付いている。そして、車両に愛着のある鉄道ファンがちゃんと集まってくれる。鉄道会社にとって廃車ツアーは商機である。

yd_sugiyama2.jpg 大井川鐵道3000系は2014年2月の引退が決まった(出典:大井川鐵道)
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