車両が引退する。路線や列車が廃止される。そのたびに“葬式鉄”が現地に訪れてにぎわう。「ふだんからこれだけ乗ってくれたら廃止にならなかった」という批判もあるようだが、それは的はずれだ。葬式鉄が価値を見出した部分は“廃止”である。廃止されなければ、他の路線や列車と同じ価値しかない。
それでは、葬式鉄はなぜ現地に集まるのか。ひとつは“イベントとしての楽しみ”だ。同好の士が集まる。また、廃止、廃車、廃線イベントを鉄道会社が実施する場合は、車両撮影などにお墨付きを与えたようなものだから、鉄道ファンにとって居心地がいい。祭り好き、イベント好きの血が騒ぐ。これは鉄道ファンに限らない。
もうひとつは、“消え去る者に対して、きちんとお別れをしたい”という心理だと思う。少なくとも私はこの部類である。路線が廃止となると聞けば現地に赴き、その最後の活躍を見ておきたい。心のなかで「お疲れさまでした」と手を合わせたい。イベント好きは廃止、廃車当日に集まるけれど、“お別れ派”の私は静かに過ごしたいから、混雑を避け、当日よりも早めに現地訪問したいと考える。その風景を記憶し、カメラなどで記録すれば納得。これでお別れのけじめができる。
2005年に廃止となった“のと鉄道能登線”の蛸島駅。路線廃止の届出期限は廃止日の1年前まで。つまり葬式鉄の出動期間は1年間だ
- 「上野東京ライン」成功のカギは、品川駅が握っている
JR東日本は上野駅と東京駅を結ぶ4つ目の路線を「上野東京ライン」として2015年3月に開業する。従来上野駅止まりだった東北本線(宇都宮線)、高崎線、常磐線の列車が東海道本線と直通する。ただし、この計画で重要な駅は上野駅や東京駅ではなく、品川駅だ。
- 鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ
SL、ブルートレイン、鉄道オタク現象など、いくつかの成長期を経て鉄道趣味は安定期に入った。しかしコミックやアニメと違い、鉄道ファンは鉄道会社にとって悩ましい存在だ。その理由は……。
- 「青春18きっぷ」が存続している理由
鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。
- なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。
- なぜ「必要悪」の踏切が存在するのか――ここにも本音と建前が
秩父鉄道の踏切で自転車に乗った小学生が電車と接触して亡くなった。4年前にもこの踏切で小学生が亡くなっている。なぜ事故は防げなかったのか。踏切に関する政策を転換し、「安全な踏切」を開発する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.