なぜコンビニのクリスマスケーキは売れるようになったのか――知られざる裏事情新連載・ご一緒に“おでん”いかがですか(1/5 ページ)

» 2013年12月19日 08時00分 公開
[川乃もりや,Business Media 誠]

著者プロフィール:

 コンビニ本部で社員をして10年余り、いわゆるスーパーバイザーなるものを経験し、何を思ったか、独立オーナーに転身した。齢40にして、自分の仕事についての足跡を残したくなり、仕事の合間に誠ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」を始める。

 旅行とお酒が大好きだが、コンビニ経営をしていると、なかなか旅行に行く時間がとれない。その一方で、アルコールの量は増えるばかり。


ご一緒に“おでん”いかがですか:

 多くの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。決して大きなスペースではないが、そこで何が起きているのだろうか。陳列台にはたくさんの商品が並んでいるが、何が売れているのか、またなぜ売れているのか。コンビニの現在と過去を紐解きながら、ちょっとした“謎”に迫っていく。

 筆者は大手コンビニの本部社員として活躍し、現在では店舗を構えるオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?


 コンビニがクリスマスケーキやおせちの販売を始めてからどのくらいの年月が経つのだろうか。一時期のピークに比べれば落ち着いてきたものの、現在クリスマスケーキの販売は1店舗当たり50個前後といったところだ。しかし少し前まで、クリスマスケーキは1店舗で5個も売れれば「優秀な店舗」とされていた。

 なぜクリスマスケーキがそれほど売れるようになったのか。その理由の1つは「味が良くなった」ことが挙げられる。かつてコンビニのデザートといえば、プリン、シュークリーム、エクレアがメインに並んでいた。しかしそんな時代は終わった。今ではパフェやタルトなど、ケーキ屋さんに近い商品がズラリと並んでいる。

 あまり知られていないと思うが、コンビニデザートが充実するキッカケとなったのは「クリスマスケーキ」なのだ。おいしいクリスマスケーキを開発する過程で、デザートをおいしくするノウハウを取得していった。

 コンビニのクリスマスケーキやスイーツは、確かにおいしくなった。だが、おいしくなっただけで、売り上げが10倍にもなるのだろうか。

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