インタビュー
» 2013年12月18日 07時37分 UPDATE

仕事をしたら“人の移動”が見えてきた(後編):宮城、福島を訪れた人はいずこへ? 位置情報データが教えてくれたこと (1/4)

「観光旅行をした人は、どこに行っているんだろう?」。こんな疑問もゲームやスマートフォンの位置情報を使えば、“観光客の動き”が分かるという。宮城県と福島県を訪れた人の特徴を教えてもらったところ……。

[土肥義則,Business Media 誠]

仕事をしたら“人の移動”が見えてきた:

 「秘宝探偵キャリー」や「プロ野球PRIDE」などスマートフォン向けゲームでヒットを飛ばしているコロプラが、ちょっとユニークな分析をしている。「位置ゲー」と呼ばれる同社のゲームに蓄積される位置情報を統計処理し、“人の動き”をさまざまな角度から解析しているのだ。

 「位置ゲー」というのは、スマートフォンや携帯電話の位置情報を利用したゲーム。例えば、自分が実際に移動した距離に応じてゲームで使えるポイントがもらえ、そのポイントを使ってバーチャルな自分の街をつくることができる。ユーザーが登録した位置情報の累計回数は20億回(2013年11月現在)を超えていて、そのデータを使えば「どこで何人が、何時に位置登録をしたのか。どこから来たのか、どこへ行ったのか、距離はどのくらいなのか」などが分かるという。

 こんな話を聞くと、「なんだか自分のプライベートがバレているようで気持ち悪いなあ」と思う人もいるだろう。「位置情報はユーザーから使用許諾をいただいたモノのみ活用しています。その情報は統計処理がされているので、個人がどう移動したのかは特定できません。そもそも弊社では氏名などの個人情報は取っていません」(同社)とのこと。

 ところで“人の動き”を分析して、どんなことが分かってきたのだろうか。「そんなの当たり前じゃないか」と思い込んでいた常識が、実は違っていた……という事例が出ているのかもしれない。人々の移動をウォッチしてきた、「おでかけ研究所」の主席研究員・長谷部潤さん(株式会社コロプラ 取締役CSO)に話を聞いた。

 →観光客はどこに行ってるの? 位置情報のデータから分かったこと(前編)

 →後編、本記事


長谷部潤さん(はせべ・じゅん)

 株式会社コロプラ 取締役CSO (取締役最高戦略責任者/CSO:Chief Strategic Officer)

 1990年に大和証券株式会社入社。その後、大和総研に転籍。証券アナリストへ。2010年7月に株式会社コロプラに転職し、取締役CSOに就任。経営企画部長としてKPI分析、アライアンス、M&A、広告出稿、広報・IR、法務、海外、おでかけ研究所などを管掌。2013年3月からSocial Game Info株式会社代表取締役兼務。


「松島」を拠点に動く

土肥: スマートフォン向けのゲームを提供しているコロプラはKDDIと共同で、位置情報のデータを使って「観光動態分析」を始められました。前回は岩手県を訪れた観光客の動きを紹介しましたが、今回は宮城県と福島県での分析結果を教えていただけますか?

長谷部: 宮城県で最も有名な観光地はどこか? そう聞かれたら「松島」を挙げる人が多いでしょう。実際、位置情報を分析したところ「松島」というのは、震災被害の大きかった沿岸部エリアへの周遊拠点になっていることが見えてきました。

 岩手県で人気がある沿岸部といえば、NHKの連続ドラマ小説『あまちゃん』の舞台にもなった「久慈」、福島県でいえばスパリゾートハワイアンズなどがある「いわき」。ただ久慈といわきを訪れた観光客は、そこから他のエリアにあまり行かないんですよね。観光客の囲い込みはできていますが、その人たちはそこで楽しんで完結してしまうので、波及効果がなかなか生まれていないという課題があるんですよ。

 一方の松島は違う。松島を訪れた観光客は、他の沿岸部にも足を運んでいます。例えば、石巻や気仙沼などにもたくさんの人が行かれています。松島が人気のエリアであることは、ほとんどの人が認識されている。震災復興という観点から見ても、ここは最も重要なところであることが分かってきました。

yd_koro1.jpg 「松島」は沿岸部観光エリアへの周遊の拠点になっている
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