最近のフジテレビはなぜ「シンガポール推し」なのか窪田順生の時事日想(3/4 ページ)

» 2013年12月03日 08時05分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

一粒で二度おいしい映画

 カンのいい方はもうお分かりだろうが、ここは世界的カジノ企業「ラスベガス・サンズ」が開発をしたIR(統合型リゾート)。要するに今、フジテレビが三井不動産、鹿島建設、日本財団と共同ですすめている「お台場カジノ構想」のお手本とされる施設だ。

 さらに言えば、映画の舞台となった豪華客船「SuperStar Virgo」はスタークルーズという企業が運営しているのだが、こちらもやはりシンガポールのセントーサ島で、同国初のカジノリゾート「リゾート・ワールド・セントーサ」を運営するゲンティン・グループ傘下。ちなみに、「リゾート・ワールド・セントーサ」はフジテレビのパートナーである鹿島建設も関わっている。

 日本のカジノ解禁を見据え、サンズもゲンティンもともにIRオペレーターとして名乗りをあげている。つまり、『謎解きはディナーのあとで』は、フジテレビにとって、カネを稼ぎ出す有力コンテンツであるとともに、これから手を組む可能性のあるパートナー候補との関係構築になる、という一粒で二度おいしい映画だったというわけだ。

 そんなシンガポール推し、いや「カジノ推し」の映画に、実は中野さんも女性バーテンダー役で出演している。「ワールドプレミア」にも出席した彼女はこんな風にふりかえっている。

ちょうど一年前。

フジテレビのオフィスロビーですれ違った映画部のTさん

「おー中野!!会社辞めたらどうするの?外国だっけ?」

「そうなんです。シンガポールに行く予定です」

「えっ。そうなの!?シンガポール。じゃあちょっと映画に協力してもらえるかな…ちょうどシンガポールが舞台だから」

(中野美奈子ブログ2013年7月29日より)

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