とはいえ、企業のソーシャルメディア利用の成熟度もまちまちだ。多くの企業では、「ソーシャル担当者」の肩書を持つ人の所属は、広報部であったり事業部であったりとバラバラ。発信する情報の粒度も企業単位であったり、ブランド単位であったりと異なる。現場でソーシャルメディアを知っている人が、特にポリシーも設定することなく、何となく始めているというのが現状だろう。
上原氏は、成熟を阻む一番の要因を「人がいないこと」と指摘する。ソーシャルメディアの運用には非常に手間がかかる。ほぼ毎日のように、どのようなコンテンツを出していこうかと悩み、何がどうなったら成果と見なせるのかも不確定だ。費用対効果がはっきりとしないため、予算もつきにくい。
また、ソーシャルメディアを使うメリットがない、あるいはあえて使わないという企業もある。それは日本企業は米国企業に比べて「炎上」リスクを大きくとらえているからだ。
「ある地方自治体がゆるキャラにTwitterを使ったソーシャル活動を行わせていた例がある。独特の口調が受けて人気者になったものの、ちょっとした政治的なツイートをしたために大炎上し、アカウントの閉鎖に至った。この事例は、きちんとガバナンスを考えていれば炎上を回避できた可能性が高い」(上原氏)
上原氏は、「ソーシャルメディア活動を支えるのは『人』。運用に対する知識、ツールを使うことの意味など、人に対してどれだけきちんとしたトレーニングができるかどうかが重要だ」という。そして、ソーシャルメディア活動のポリシーを策定することで、担当者ごとのセンスによってぶれることなく、複数人で運用しても未然に事故を防げるようになると指摘する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング