では、ビジネスに貢献するソーシャルメディア活動を実現するにはどうしたらいいのか。それにはまず目的を明確化することだ。一般的にはブランド認知の向上が一番多い。だが、ブランドイメージが高まったかどうかの効果測定までできているところは少ない。
上原氏は「KPI設定は、(Twitterのフォロワー数やFacebookのいいね数など)ファンの獲得数から始めることが重要だ」という。その理由は、「すっからかんのファンページでは何をやっても盛り上がらないから」。そして、その増減をリアルタイムで検証することではじめて、次手としてエンゲージメントを深化させるのか、好感度アップにつなげるのか、それともPRの一環として使うのかといった施策が打てるのだ。
次にすべきことは、ソーシャルネットワーク上で何が流行しているのかを把握する「リスニング」だ。やみくもに何となく、担当者の思いつきで投稿してもファンは増えない。トレンドを見極めて、適切なコンテンツを適切なタイミングで投入していくといったデータ主導(データドリブン)なソーシャルメディア活動が重要なのだ。
そして盛り上がったところでソーシャル広告を打ったり、アプリを提供したりする。データによって費用対効果が導かれることで予算もつきやすくなり、その結果、さらにリーチを広げることができる。アクセス解析ツールを使うことで、エンゲージを高めたユーザーがどのようにビジネスに貢献しているのかを把握できるようになる。
このようなサイクルを回すことで、得られた知見を社内の別ビジネスでも再利用できるようになる。また、ワークフローの効率化によって煩雑な業務の役割分担が可能になり、その結果、より細かいソーシャルメディア活動にかける時間がねん出できる。ここまでくればソーシャルメディア活動のビジネス貢献度を上層部に報告でき、場合によっては増員や予算増も期待できる。
ソーシャルメディア活動の費用対効果は見えにくい。だが、プロセスやツールを整備することでリアルタイムに膨大なデータを収集できる。今後、ソーシャルメディアをビジネス活動としていくには、説得力を持つデータに基づいて活動していくことが重要だ。
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