そうすると、勉強法としては一般的なモノもTOEIC向けとして薦められないものがあります。例えば、ディクテーションという一般的なリスニング勉強法があります。これは平たく言うと、音声の書き取りです。リスニングとライティングが同時にできる勉強となります。
聴き取った英文をちゃんと書くためには、aなどの冠詞も含めて全単語が聴き取れなければいけませんし、単熟語のスペルもすべて正確に憶えざるを得ません。
ただし、このディクテーションが要求する「細部まで聴き取る能力」「一字一句正確に書ける能力」はTOEICのスコアに直接関係ありません。TOEICでは選択肢を選ぶだけですから、リスニングでは冠詞がどうだろうと、複数形だろうと単数形だろうと回答にはほとんど影響しないと思います。
なので詳細まで聴き取れる必要はなく、ポイントになる所だけ聴き取れればそれで選択肢は選べるはずです。また、単熟語のスペルについても、聴いて読んで判別できる程度に知っていさえすれば、書けなくても問題ありません。
書く作業は、聴く作業に比べて時間がかかります。同じ時間をディクテーションと書かない聴き込みに使うのであれば、後者のほうが多くの英文を聴くことができます。そして聴いた分量に比例して、リスニング力も伸びるのではないかと思います。
ですから、ディクテーションは聴くことに集中できない時に、集中せざるを得ない状況を作るためには有用ですが、本来はTOEIC向けの勉強法ではないでしょう。
日本語でも、話す日本語と書く日本語は異なるわけで、それは英語だって同じことです。そう考えると、ディクテーションはリスニング教材でライティングの練習をするわけですから、TOEIC対策としては遠回りだと思います。
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