聞き返し方ひとつで英会話はこんなに楽になるビジネス英語の歩き方(1/3 ページ)

» 2013年04月24日 08時00分 公開
[河口鴻三,Business Media 誠]

「ビジネス英語の歩き方」とは?

英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。

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 英会話で、何といっても困るのは、相手の言っていることが分からないことです。道を聞かれたとき、どうしてもドギマギしてしまうのが日本人。会議などでも「みんながしゃべっていることが、いまひとつはっきり分からない。自分が何か言わなくてはいけなくなったらどうしよう」。

 日本人なら「そうだよなあ」とうなずくのでは? 問題はこの先にあります。ひとつは、理由のいかんを問わず、相手の言うことがはっきり理解できないときに、どう対処するか。もうひとつは、なぜ日本人はこういうプレッシャーを感じてしまうのか。

 筆者自身、米国で合計12年間生活し、「相手が言っていることが分からない」場面に数えきれないくらい遭遇しました。そして「聞き返しても、やっぱり分からない」という絶望的な状況も経験しました。そのなかで学んだことの中から、強調しておきたいポイントを紹介しましょう。

分からないものは、聞き返したって分からない?

 中学校の英語の授業でも、英会話教室でも、だいたい5つの「聞き返し方」を教えてくれます。いずれも「すみません、もう一度お願いします」という意味のオーソドックスな表現です。

  • Sorry?
  • I am sorry?
  • Excuse me.
  • Pardon?
  • Pardon me?

 もう少し丁寧に聞き返すなら、

  • Sorry, could you say that again?(すみません、もう一度言っていただけますか?)

という表現を教えてくれる先生もいるかもしれません。もちろん、これも丁寧な言い方として、いつでも使えます。

 しかし、本当に問題なのは、相手がもう一度言った内容が、それでもまだ分からない場合。つまり、2回聞いてもやっぱりよく分からないということは、けして少なくない。なぜ、このようなケースが多いのか。それは、相手に同じことを言わせるように聞き返しているからです。

 まず、「Excuse me?」などの典型的な聞き返し方は、相手が言ったことがよく聞き取れなかったので、「いま言った(同じ)ことを、すみませんがもう一度お願いします」という意味だということ。従って、相手はほぼ例外なく、初めに言ったことを繰り返します。

 従って、「やっぱりよく分からん」となったときに、さらに「Excuse me.」とか「Sorry?」と繰り返すわけにはいきません。聞いても構わないのですが、普通はそうしません。それは相手に失礼だという意識が強くなるのと、相手に「この人は、ちょっと理解力が足りないのではないか」「ちょっとIQが低いのではないか?」と思われかねないと本能的に思ってしまうからです。

 学校でも英会話教室でも絶対に教えてくれないテクニックですが、実は大切なのは「どういう表現で相手が言いたいことを聞き出すか?」という工夫なのです。

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