紙袋をやめて、7万2000円の商品が返却された――パタゴニア、4つのコアバリューとは気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀(1)(1/6 ページ)

» 2013年04月12日 12時00分 公開
[Business Media 誠]

 厳しい経営環境が続く中でも、独自のスタイルで成功している企業がある。そんな企業に共通するのが「組織力」ではないだろうか?

 組織がまとまっていることで、企業の成長スピードも変われば、社風そのものが対外的に発信されやすくなり、ブランドイメージの差別化にもつながる。

 そこで、本企画では「組織力」で勝ち残っている企業の経営者をお招きし、「組織をまとめるために意識していること」や「組織マネジメント」についてうかがい、どうやって組織力を高めれば良いかを考える。組織マネジメントの学術書『U理論』の翻訳者、組織マネジメントコンサルタントの中土井僚氏が、パタゴニア日本支社長・辻井隆行氏に話を聞いた。全3回でお送りする。

日本上陸以来、売り上げ・店舗数が増加

パタゴニア創業者のイヴォン・シュイナードの著書『社員をサーフィンに行かせよう!

 パタゴニアは世界に89店舗、日本では19店舗を展開している米国発のアウトドアウェアブランドだ。1988年に日本支社を設立、93年には神奈川県鎌倉市にオフィスを移転し、今年で20年目を迎える。日本上陸以来、売り上げ・店舗数ともに着実に増やしてきた。

 同社は以前、創業者のイヴォン・シュイナードの著書『社員をサーフィンに行かせよう!』で、その社風が話題となった。パタゴニアの社員は、いい波が来たら、就業時間内でも上司の許可なくサーフィンに行くことが承認されている。

 また、社をあげて環境保全に注力していることでも知られている。通常のコットンに比べて原価が跳ね上がる、オーガニックコットンを採用したり、アウトドアウェアブランドでは初めてペットボトルをリサイクルしたフリースを発売。このほかにも環境保護団体への寄付や、被災地での支援などを行っている。

 同社のマネジメントへの考え方について、他の会社でも共通する部分があるのではないか? そんな仮説をもとに、辻井支社長に話を聞いてみた。

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