結論から言うと、税制を変えたくらいではそう簡単に私たちの給与は上がらないでしょう。大企業はともかく、中小企業の8割は赤字で、そもそも法人税を支払っていないのが現状です。
では、私たちの給与はどうしたら上がるのでしょう? ちょっと計算をしながら整理してみたいと思います。
まず、会社にとっての「社員1人当たりの給与」を算出します。社員1人当たりの給与とは、支払給与総額を社員数で割ったものです。そして、私たちの給与が上がるということは、この社員1人あたりの給与額が上がるということことです。これを会社のもうけ(付加価値)で分解して考えてみます。これを式にすると、以下のようになります。
社員1人あたりの給与額=給与総額÷社員数 社員1人あたりの給与額=A(給与総額÷会社のもうけ)×B(会社のもうけ÷社員数)
Aは「会社のもうけのうち、どれだけを給与として社員に払ったか」というものです。これを「労働分配率」といいます。Bは、「社員1人あたりどれだけのもうけを上げているか」というもので、これを「労働生産性」といいます。つまり、
社員一人当たりの給与額=労働分配率×労働生産性
ということになります。
ここで日本の労働分配率と労働生産性を、海外の先進諸国と比較してみます。日本の労働分配率はもともと高くて60%以上あったものが、2000年に入った頃からは低下傾向になり、2006年には52%程度とほぼ先進諸国と同じような水準になりました。ちなみにOECD資料によると米国は57%、英国56%、フランス52%、ドイツ49%です(所得には名目GDPを使用)。
2011年時点での日本の労働生産性は7万3000ドル(約780万円)です。これはほぼOECDの平均値で、34か国中19位です。ちなみに20位のギリシャも7万3000ドルです。1位はルクセンブルグが12万6000ドル、2位のノルウェーは12万ドル。3位の米国は10万6000ドルです。日本はフランス(6位:8万7000ドル)、ドイツ(15位:8万1000ドル)、英国(18位:7万6000ドル)よりも低い水準にあります(所得は購買力平価調整後のGDPを使用)。
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