高級官僚というのは記者にとって最大のネタ元だ。だから、頼まれたことは断れない。両者が手を組んで仕掛けたものを、記者がスクープとして報じる。これほど正確かつ安全な調査報道はないが、これは欧米人の感覚では「ジャーナリズム」とは呼ばない。
社史には「この時代はまだズブズブだったんスよ。いや、お恥ずかしい」みたいな懺悔話として紹介されているかと思ったら、「これ以降、日本の新聞界に近代的エディターとしての主筆が定着する」と誇らしげに締めくくられていた。
こういう「ジャパンスタイル」が定着して100年あまり。その事実を踏まえると、「増税をしないと日本の破たんが訪れる」みないな予言も、経済記者が自分で取材し、自分の頭で分析をしたというものではないだろう。いろんなネタを授けてくれる財務官僚にけしかけれ、書かされているという“オトナの事情”が垣間見える。
いろんなしがらみがあるのはしょうがない。ただ、あまりにあおり過ぎてしまうと、マヤの予言でロウソクを買い集めた中国人たちのように、パニックに陥る人々も出てくる。予言という「体」での世論誘導だ。
そういう思惑がモロに見えてしまうと、マスコミ不信に拍車がかかる。今のままでは、来年あたりはいよいよ新聞の不買運動なんかも起きてしまうだろう。
いや、予言とかではなくマジメな話で。
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