コラム
» 2012年12月25日 08時03分 UPDATE

窪田順生の時事日想:「滅亡」を煽らなくてはいけない人々の“オトナの事情” (1/3)

マヤの予言がハズれてしまった。今のところ地軸はズレていないし、太陽フレアによる磁気嵐も起きていない。テレビなどで「人類が滅亡する」という人がいるが、なぜ彼らはそんなことを口にするのか。その背景には、“大人の事情”があるからだ。

[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 マヤの予言がハズれてしまった。今のところ地軸はズレていないし、太陽フレアによる磁気嵐も起きていないし、ゾンビも大量発生していない。

 なんて言うと、人類滅亡をあおっていた人たちをバカにしているように聞こえるかもしれないが、そんなことはなく、どちらかというと気の毒にと同情している。あまり知られていないが、滅亡をあおる側には、信じていなくても“オトナの事情”からあおらなくてはいけないという人たちも多いからだ。

人類は滅亡しなかった

 テレビのADをしていた1998年の年末、巨大隕石で人類滅亡の危機が訪れる……みたいな2時間特番に関わった。「1999年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる」でおなじみの「ノストラダムスの大予言」がいよいよ来年に迫ったからというコンセプトだが、これは表向きで、実はブルース・ウィリス主演の映画『アルマゲドン』公開に先駆けたプロモーションという意味合いのほうが強かった。

 当然、このアクション大作を彷彿とするダイナミックな内容になる。エジプト、イスラエル、南米、中国……世界中にちらばる予言や神話を検証すると、隕石が落ちてきて人類が滅亡する可能性が高い。そこでスタジオに招かれた専門家たちが言う。そうならないためには核ミサイルで隕石をぶっ壊すしかない、と。「そんなワケねーじゃん」なんて言える空気ではなく、わりとマジな感じでつくられていた。

 こういうプロモーションの甲斐もあって、『アルマゲドン』の観客動員は890万人、興行収入135億円の大ヒットとなったわけだが、1999年7月が近づくにつれ不安になってきた。映画はエンターテインメントだからいい。しかし、その宣伝ともうたわずに隕石衝突をあおった番組は「いやー悪い、ハズれちゃったね」で済まされるのだろうか。

 結論から言うと、それで済まされていた。だが、ゴールデンの時間帯でそこそこの視聴率もとれたので全国で数十万人が視聴したのだ。なかには「テレビの予言」を真に受けて、不安で眠れぬ夜を過ごした人もいらっしゃるはずだ。クレームをいれようという人がいないのが不思議でならなかった。

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