心理的に参照する価格は、ある特定カテゴリでのざっくりとした価格帯の場合が多いので、その比較対象となるカテゴリ自体を変えてみましょう。例えば、最近、増えてきている「家飲み」。これは、居酒屋などで飲むより、家で飲んだほうが安いという節約思考の表れといえるでしょう。
では、高級ビールを販売したい場合を考えてみます。ここでは、スーパーマーケットなど同じ売り場で取り扱われる他商品と比較させるのではなく、対象を居酒屋で飲む生ビールに替えてしまうわけです。
するとショッパーの心理的には、「外で飲む生ビールより安いから、ちょっと高いけど買っちゃおう」という気持ちになるかもしれません。このように別の比較対象を提示することによって、割高感を値ごろ感に切り替えるのです。
そもそも「高い」と思ってしまう根本には、その商品に対するショッパーの「価値理解度が浅い」ということがあります。逆に言えば、価値を理解してもらえれば、値ごろ感につながります。
そのカギは「体感」です。ショッパーが身を持って理解するのが一番早いというわけですね。例えば、五感に訴えるマーケティングは高い効果が得られます。ある飲料のディスプレイでは、視覚だけでなく、嗅覚にも訴えました。ボタンを押すと商品のニオイがします。デザインも子どもが押してみたくなるようなものにして体感を促進しています。割高感→体感→価値理解→値ごろ感という心理変化を狙うことができます。
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