あえて現地に放り出す? 鉄道ツアーの仕掛け杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)

» 2012年06月15日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]
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旅行会社の新たな取り組み

 そしていま、いくつかの地方自治体で、ローカル線や廃線跡などの「鉄道を活用した観光振興」についての取り組みが始まっているという。日本旅行では内部組織の「日本旅行総研」が対応し、コンサルティング業務を手がけている。「地方自治体の観光活性化のプラン作りは大手シンクタンクもできるはず。しかし私たちには、参加者の笑顔がどこにあるかを知っている」と日本旅行の担当者はいう。A地点からB地点までの移動だけではなく、お客さんに満ち足りた旅行をしていただく。それが旅行会社の存在価値だからだ。

 海外に目を向ければ、氷河急行やワイントレインなど、鉄道ファンでなくても乗りたい列車がある。欧米では鉄道が観光素材として活用され、観光列車がたくさんある。日本は黒部峡谷鉄道や大井川鐡道が熱心で、JR九州が乗り出した程度。まだまだ未開発だ。

 鉄道路線や車両の歴史や背景、車掌など働く人の話を聞き、鉄道の良さを知ってもらう。それが鉄道ツアーの魅力である。そして、日本は鉄道技術が進歩し、路線密度が高い国。参加者も鉄道マニアだけではなく、新たな切り口を求める旅行ファンもいる。鉄道の魅力は日本の魅力に通じる。鉄道ツアーは日本再発見の旅でもあるのだ。

由利高原鉄道ツアーは鉄道ファンがローカル鉄道の魅力を提案(左)、由利高原鉄道の全面協力で検車区なども見学(右)

※写真提供:日本旅行


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