あえて現地に放り出す? 鉄道ツアーの仕掛け杉山淳一の時事日想(4/5 ページ)

» 2012年06月15日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

地方自治体も鉄道ツアーに注目

 日本旅行は「ひたちなか海浜鉄道ツアー」の第二弾として、半年後の2011年12月に「鉄道写真家広田泉さんと行くなごみ&ひたちなか海浜鉄道の旅」を開催した。今度は往路にJR東日本のハイグレード車両E655系「なごみ」を起用し、全線開通したひたちなか海浜鉄道に乗車。鉄道写真家として人気の広田泉氏が同乗して撮影用列車を運行したほか、昼食は那珂湊駅であんこう鍋が振舞われた。そしてお約束の「現地解散」。このツアーもすぐに完売になったという。

 2012年3月には、秋田県で「鉄道ファンによる、鉄道ファンのための企画会議ツアー in由利高原鉄道」を開催。日本旅行が企画を打診したところ快諾。同鉄道社長が旅行業界出身ということもあり、全面的な協力を得た。1日目は貸切車両に乗車し、終点では駅内の見学や同鉄道に関する状況説明が行われ、夕食時の懇親会で参加者による意見交換会が行われた。これは東京発東京着で現地解散ではなかった。しかし2日目は完全なフリータイムとなっている。

 1日目の夜の懇親会は由利本荘市の副市長も参加し「こういう形で鉄道と地元が協力するのは初めて」と関心を寄せたとのこと。赤字に悩む地方鉄道の活性化は、地元自治体にとっても関心の高い問題だろう。鉄道ツアーに対する地元自治体の期待を感じさせるエピソードだ。

 今年の6月2日から3日にかけて開催された「広田泉さんと行く、会津モリモリツアー」は、ひたちなか海浜鉄道の那珂湊駅と会津鉄道の芦ノ牧温泉駅が姉妹駅として提携することを記念した第1弾企画だ。会津鉄道を訪ねる1泊2日。那珂湊駅と芦ノ牧温泉駅は、「駅にマスコットの猫がいる」「古い駅舎を大切に使っている」などの共通点があるという。

 このツアーは参加者が利用駅に記念プレートを設置したほか、両鉄道社員のトークショーなどが組み込まれた。オプションとして広田氏との懇親会や、コンパクトデジカメで撮る鉄道写真教室が用意された。これは2日目に現地解散である。

気鋭の写真家、広田泉氏が参加して鉄道写真教室を開催

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