大塚:鉄道にちなんだビジネスというのは、本当に難しい。鉄道のビジネスで成功するためには野球の米国大リーグの選手ならば「イチローを目指すのではなく、新庄剛志を目指すほうがいい」のではないかと思っています。
杉山:どういうことでしょうか?
大塚:鉄道ファンはお金を持っている。だから鉄道に関するアイテムを買ってくれる――そう考えるのはよくない。「何で買ってくれないんだ!」と思うのではなくて、うまくいったらいいなあといった感じで新商品などを企画したほうがいいのではないでしょうか。
なので安打を量産するイチローではなく、娯楽性に富み、意外な場面でヒットを生み出す新庄を目指すということですね。あ……新庄はちょっと古いですね(笑)。
杉山:ハハハ。
大塚:私はゲーム業界も担当しており、「電車でGO!」を開発したタイトーの齋藤晃さんに話をうかがったことがあります。「電車でGO!」の1作目は大ヒットしましたが、あれは彼の思い入れが強いことが要因にあります。齋藤さんが大学生だったころ、山陰線を利用していました。そこでゲームの1作目には山陰線の京都〜亀岡間が登場しました。
この中の一部区間はその後複線、電化して別の区間を通る路線になってしまった。今はトロッコ列車を走らせる嵯峨野観光鉄道に引き継がれたので、あのゲームがモニュメントのようになってしまった。その部分が鉄道ファンの心をくすぐるようなところがあって、根強い人気がある。
タイトーは昨年10月の鉄道の日に合わせたイベントにこのゲーム機を出展したり、今年4月に子ども向けのカードゲームを投入するなど「電車でGO!」に再び取り組もうとしている姿勢は評価できるのですが、全部成功したわけではありません。
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